この記事の執筆は ”文学部”です

国文学会大会の開催を伝える学生レポートが学会会報に掲載されました!

2017年度より国文学会の幹事を務めることとなりました。よろしくお願いいたします。
日本語日本文学科の学生とその大学院生からなる国文学会には数々の楽しい恒例イベントがあります。そのうちの一つが、講演会や大学院生の研究発表等を中心とした年に一度の大会開催です。そして10月2日、同じく国文学会の活動の一つである『ふぇりす国文学会会報』第76号を発行、役員の学生たちが執筆した「国文学会大会レポート」が掲載されました。以下にそのレポート全文を再掲します。今年度の大会の詳細な内容がわかりますので、ぜひお読みください!

文学部日本語日本文学科教授 吉田弥生


「国文学会大会レポート」
日時 2017年6月28日(水)
【ミニ講演会】
竹内正彦先生(本学教授)
「源氏物語 研究のたのしさ、おもしろさ」
【研究発表会】
一、 山﨑舞(本学大学院博士課程前期1年)
題目『再版 桃太郎昔語』考
二、 佐藤洋美(本学大学院博士課程後期2年)
題目「藤典侍論」-「夕霧」巻における雲居雁との贈答をめぐって-
【講演会】
講師:栗山民也先生(演出家)
演題:「言葉と身体をつなぐ-舞台演出家という仕事-」

2017年6月28日に国文学大会があり、総会、ミニ講演会、研究発表会、講演会が行われました。

ミニ講演会では本学教授の竹内正彦先生が、「源氏物語 研究のたのしさ、おもしろさ」と題して、夕顔物語における覆面の光源氏に関しての研究内容を発表して下さいました。正体を隠しながら夕顔のもとに通っていた光源氏。どのように正体を隠していたのか、またなぜ顔を隠さなければならなかったのかを、新入生にもわかりやすく説明してくださいました。発表を通して、様々な資料を見て研究していく中で、新たな発見があることが研究のおもしろいところだ、とおっしゃっていました。身近な、しかし普段は意識していない小さな事柄からでも、研究し、自分なりの考えを深めてみるのも良いのではないでしょうか。

研究発表会では本学大学院修士一年の山﨑舞さんが江戸期に刊行された『再版 桃太郎昔語』が現在一般的になっている『ももたろう』とどのように違い、以後桃太郎作品がどのように扱われていったのかを発表してくださいました。『ももたろう』では桃から誕生する話が一般的ですが、『再版 桃太郎昔語』では、桃を食べた爺・婆によって桃太郎が誕生することや、結末では『再版 桃太郎昔語』では鬼からもらった宝物の打ち出の小槌から金銀を取り出すなど、違いがあることがわかりました。
また、本学大学院博士二年の佐藤洋美さんは、藤典侍について「夕霧」巻における雲居雁との贈答を中心に発表してくださいました。夕霧をめぐる藤典侍・雲居雁・落葉の宮の関係が、光源氏をめぐる明石の君・紫の上・女三の宮の関係と非常に似ていることをさまざまな資料を挙げながら説明してくださり、明石の君物語では描ききれなかったものを夕霧の巻で描いたのではないかということを知ることができました。

講演会では、舞台演出家の栗山民也先生にお越しいただきました。今回は、栗山先生と本学教授・吉田弥生先生との対話形式で講演会が進み、様々な事柄に対して演出家ならではのお考えをお聞きすることができました。栗山先生にとって演劇とは「生き物」であり、その演劇を行う劇場は、歴史に埋もれてしまった魂の声を再生する場所であるそうです。人間は忘れるからこそ形にします。戦争の記憶を残すために石碑を立てるのはその一例です。しかし、演劇といってもただ再生すればいいだけではありません。先生は、人が何か物事を行うためには基礎が大切であり、演劇においても同様であるとおっしゃっていました。このお話を聞きながら、よく「とにかく三年やってみなさい」という言葉がありますが、基礎があって、その先があることがよくわかりました。
また先生は「衝突こそが演劇において大切であり、我々は世間が認めてくれる答えを探すのではなく、自分達なりの答えを探すことが重要なのだ」とおっしゃっていました。現代、特に日本においては、人とぶつかることを忌避する傾向にあります。しかし、言いたいことを伝えずに、衝突せずに関係を築くことは本当に良いことなのでしょうか。自分が言いたいことをちゃんと伝えているのか、ハッと気づかせてくれるお話でした。
今回の講演で、演劇を通して、私たちが日常で考えられることが多くあると感じました。いろいろなことに興味を持ち視野を広くすることや、知識だけでなく実際に自分の足で世界を見て異なるフィールドを知り多様性を認めること。そして自分なりの答えを見つけること。改めて自分を見つめなおすきっかけになりました。最後に先生は、学生のうちに「聞く力」を身につけてほしいとおっしゃっていました。大学では、ゼミや授業などで自分の考えを発表する機会が多くありますが、どうしても自分の準備や自分が発表することにばかり気をとられがちです。もちろん、それは大事ですが、他の人が言ってくれる意見にしっかり耳を傾け、柔軟に考えること、聞くことにも重きを置いて取り組んでみるのはいかがでしょうか。

講演会後には栗山先生をお招きし、国文学会役員学生と、本学教員数名で懇親会を行いました。和やかな雰囲気で行われ、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

国文学会役員2年 M.A、同2年 K.M、同1年 C.N