この記事の執筆は ”宗教センター”です

明治の文豪が見た神様の力 サマーリトリート報告

9月3日(火)~4日(水)、緑園キャンパスで、宗教センター主催でサマーリトリートが開かれました。「リトリート」というのは、耳慣れない言葉かもしれませんが、もともとは「退却」とか「退く」とかいう意味で、忙しい日常からしばらく離れて、今までの歩みをふり返ったり、これからの道行きについて考えたりするためのイベントです。そんな風に言われると、宗教センター主催のイベントでもあるし、すごく堅苦しい、あるいはキリスト教徒に限定されたイベントなのではないかと思って、身構えてしまう方もいるかもしれませんが、参加者のほとんどはクリスチャンでない学生たちですし、ふだん交流があまりない他学部学科の学生、上級生や下級生や院生、また教職員たちと、お菓子やジュースをかこんで交流できる、基本的にはとても楽しいイベントです。

主題講演をする佐藤裕子教授

今年のサマーリトリートは、文学部日本語日本文学科の佐藤裕子教授を講師にお招きして主題講演をしていただきました。佐藤先生による主題講演は、「明治の文豪が見た『神様』の力」という題で、一日目は、森鴎外の『かのように』を読みながら、ドイツに留学してキリスト教に触れた主人公秀麿が父親に宛てた手紙の内容、それに対する父親の反応や、友人と秀麿とのやりとりなどが、解説を交えながら丁寧に取り上げられました。二日目は、佐藤先生自作の資料を見ながら、漱石とキリスト教の出会い、日記や文学論や小説に見られる、漱石とキリスト教とのかかわりや、キリスト教をめぐる考えなどが紹介されました。鴎外と漱石という、明治日本を代表する小説家二人が、信者にこそならなかったものの、彼らなりの仕方で真剣にキリスト教と向き合い、取り組んだことがわかり、参加した人だけのお楽しみの、ここだけの話もいろいろ飛び出して、たいへん楽しい、学びや気づきがたくさんある時間でした。

主題講演の内容を受けて、さらに深めるために、引き続き「ワールドカフェ」が行われ、「かのように」、「1+1=2か?」をテーマに、活発な話し合いがされました。「本当ってなんだろう?」「常識を疑う」方向にも話が発展し、議論の中で参加者たちの意外な一面が知れたり、午後の「さんびのまなび」の時間には、「日本で生まれた日本語の賛美歌を歌ってみましょう」というコンセプトで、ふだん歌う機会があまりない賛美歌をみんなで歌ったりと、どのプログラムも、それぞれに豊かなものでした。参加した人ひとりひとりが、各人各様のものを得ることができた二日間であったと思います。

このサマーリトリートは、先にも書きましたが、いわゆるクリスチャン限定だとか、堅苦しかったりするものではまったくありませんので、今年参加することができなかった方も、今年は参加をためらった方も、ぜひ次回はご参加くださいますよう、関係者一同、心よりお待ちしています。