この記事の執筆は ”共通教育”です

2020年度プロジェクト演習『横浜と音楽』

この授業は「横浜」と「音楽」のキーワードから何ができるかを考え、「企画」「実行」することを目的として、これまでに日産、三井不動産などの企業と提携して演奏会等イベントを行なってきました。問題解消方法、伝え方を学ぶことがメインの授業のため、ゴールを目指せば良いだけでは無く、今後のゼミ等にも活かせる内容にしていますが、今年度は全て遠隔授業となり、私を含めた全員が慣れない状態で、しかも初対面でのプレゼン、ミーティング・・・そして少ない授業回数。戸惑いながらも個々の企画から「私たちができること」を第一に話し合いを続け、2つの企画が決まりました。

まず、「音楽で横浜の子どもたちを元気づけよう」というタイトルで横浜市内小児病棟へのDVD配布。以前、自身の入院時に日本ホスピタルクラウン協会のボランティア慰問が印象的であったという履修生が、コロナウイルスの影響で協会の訪問活動ができていない状況であることを知り、小児科病棟の子どもたちに演奏映像を送り、元気や笑顔を届けるという企画を提案。他の学生からもユニークな企画は出てきましたが、実現可能である企画を絞り込み、「私たちができること」として皆で何度も考え、この案が採択されました。演奏曲もかなり難航しましたが、横浜に因んだ童謡「かもめの水兵さん」、子どもたちに人気のある曲から踊り指導付きで「パプリカ」、「世界がひとつになるまで」の3曲が決定。

そしてもう一つの企画は、教員からの提案と履修生からの意見を合わせて「学内学生を音楽で元気づけよう」の企画も並行して進めることになりました。特に一年生は入学式や学外オリエンテ―ションが中止になり、ずっと自宅で遠隔授業を受けている事から、校内風景をバックにオリエンテーションで演奏予定だった「校歌」「讃美歌」を演奏。そして多く上がった候補の中から「虹色(綾香)」が決まったのは全授業回数の半分が過ぎてからでした。

ケーブルテレビJ:COM横浜ニュース番組で放送

履修する20名が演奏、楽曲、編集、統括班に別れて作業。演奏班は自宅で個々に演奏し、楽曲班が楽譜などチェック、データを編集班に送り無料ソフト等を駆使して作業。この動きを俯瞰で統括班が進捗管理。これらの作業を対面打ち合わせ一切無しでZoomとメール、チャット(ハングアウト)だけで進めるのは当初は苦労の連続でした。目標が決まると全員のエネルギーが加速を始め、対面の作業ができないのにもかかわらず、全員が一つになって行くパワーには驚きました。そして編集作業が初心者ばかりの学生は、試験前での作業で時間が無く苦心していましたが、演奏、楽曲、統括班それぞれの想いをしっかり受け止め、授業終了後の8月の完成までクオリティを追求し続けました。仕上がった映像を見た時には感動で涙が出ました。

小児病棟へ寄贈するDVDのデザイン

病院には、感染防止として手渡しを避け、県立こども医療センター、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院、昭和大学藤が丘病院、昭和大学横浜市北部病院の各小児病棟ボランティア担当者へDVDを郵送という流れになり、フェリスの学内へはYouTubeの限定公開URLを公開して配信することになりました。様々な反応はある事は予想できますが、まだまだ終わりが見えない非常事態の中、今何が必要とされ、音楽で何ができるかを考え、考えを伝え合い、理解できるように互いに努力をした経験は、履修者に大きな足跡を残したと思います。大変勉強になったと殆どの学生が言っていましたが、それぞれの心の中にはモヤモヤしたのもがあるはずです。派手な成果を求めるので無く、「誰に」「何を」「このことは必要なのか」など常に自問自答を重ねるために、ポートフォリオを活用して自己分析に向き合い、自主的に、思いを伝える術の更なる研鑽に励んで貰いたいと願っています。

人口376万人の巨大都市、横浜は、様々な体験が出来るだけでなく、このような学生の活動をサポートして頂ける環境ゆえに、今後も音楽と横浜を繋げる授業として私も学生と共に研鑽を積んで行きたいと思います。最後に、笑顔でノリノリ映像出演して、疲れてきた履修生に笑顔をくれた荒井学長にこの場を借りてお礼申し上げます。

音楽学部音楽芸術学科教授 土屋 広次郎