この記事の執筆は ”共通教育”です

2021年度プロジェクト演習『横浜と音楽』

この授業は「横浜」と「音楽」のキーワードから何ができるかを考え、企画・実行することのみを目的とせず、問題解決方法、考え方、伝え方を学ぶことがメインであり、今後のゼミ等にも活かせる内容にし、これまでに日産、三井不動産などの企業と提携して演奏会等イベントを行なってきました。昨年度は全て遠隔授業でしたので各自が自宅で演奏した曲をDVDにして小児病棟に配布しましたが、今年こそは学外演奏をするつもりで履修者と意気揚々と企画を考え始めました。

先ずは例年同様にゼロからのスタート。「横浜と音楽」のキーワードだけで「5W1H」の法則に則って小さなグループに分かれてディスカッションを繰り返してきました。どれもユニークで実現可能な企画案が出てきたため選抜に苦労を毎時間重ねてきましたが、次の2つのテーマが決定。

・横浜ゆかりの新旧の楽曲と名所を知ってもらい、古い横浜の良さも紹介することにより、みなとみらいだけの印象の横浜を払拭させる。
・コロナ禍で疲れた横浜の人々を音楽で少しでも癒してもらう

そしてこれらを具体化させるために「横浜に因んだ曲を履修生が演奏する」という企画が固まりました。そして会場は炎天下の野外では人は集まりにくいことからインドア会場を探し、様々な条件から「横浜ハンマーヘッド」のロビーでの開催が決定。偶然にも会場の担当者は卒業生ということもありスムーズに企画が進んでいきました。

ところが、突然にこの会場がワクチン接種会場に決定したため、人流が多くなることから会場を再検討。別会場も考えましたが、環境にあまり差がないことから会場を変更せず、生演奏をやめてビデオ上映に急遽変更。状況の変化にも履修生は柔軟に対応し、上映方法など更に検討を重ね、以下の内容に決定しました。

・赤い靴を履いた女の子のシルエットが横浜の名所を巡り、合間に事前に大学チャペルで演奏収録した履修生の演奏を上映

残り少ない授業時間の中で、12名の履修者が演奏班8名と編集班4名に分かれましたが、演奏班から歌、ヴァイオリン、トランペット、ピアノ、ギターを演奏できる学生がいたことから内容もバラエティに仕上がりました。演奏曲は、

「赤い靴」「かもめの水平さん」「港が見える丘」「ブルーライト横浜」「桜木町」「炎と森のカーニバル」

と幅広い年齢層を意識し、全員が積極的に意見を出し合いつつタイムキーパーの指示のもと収録は完了しました。撮影はスマホ。照明は無くても驚くほどクリアな画像になり、これを初心者ばかりの編集班が風景と合わせて編集作業に入りましたが、何とか納期に間に合い、事前に会場担当者にもZoomにて確認、意見交換してもらい当日上映に間に合いました。

当日は学生は来場せずに、指導教員の私がプロジェクター設置と司会進行。会場は学生不在の寂しいイベントで、演奏当日の大きな経験ができないことは大変残念でしたが、最終授業での履修者からのコメントは、一様に「積極性、企画の柔軟性、情報収集能力を今後は伸ばして行き、横浜のことが知れてますます好きになった」というコメントや、「良い経験と学習になった」と述べていたことは、授業目標としては達成できたという印象でした。コロナ禍の緊張状態の中で、出来る事・出来ない事、やりたい事・やれない事を考えるだけでも、私もとても良い経験になりましたが、単なる思い出づくりで終わらずに、音楽は不要不急ではなく至急必要であることを再認識したこの経験を今後も生かしてもらいたいと思います。

4年間にわたり開講して来た『横浜と音楽』はしばらくお休みします。この間、コロナ禍の影響など様々な苦労もありましたが、学生たちはいつも一生懸命にプロジェクトに取り組み、多くの経験を積むことができました。この経験を今後の学びに活かして欲しいと思います。

音楽学部音楽芸術学科教授 土屋広次郎