2021年度プロジェクト演習『ライフスタイルから考えるサステイナビリティ』

わたしたちの便利で快適なライフスタイルに欠かせない「PETボトル」は、ガラスびんに比べて軽量なため、買い物の負担や輸送時のCO2排出量も大幅に削減しました。しかしその一方で、原料となる石油の資源枯渇やプラスチック廃棄物による海洋汚染が世界的な問題になっており、リサイクル体制のよりいっそうの強化が求められています。PETボトルをごみとして放出せずに資源として循環させるには、メーカー、小売店舗、消費者のそれぞれが積極的に自らの役割を果たしていくことが必要です。そこでこのプロジェクト演習では、イオンと丸紅フォレストリンクス株式会社(丸紅株式会社100%子会社)が2021年から実験的に開始した「ボトル to ボトル プロジェクト」をケーススタディとして採り上げ、消費者としてこのプロジェクトをより効果的にするための企画・提案を行いました。

まず、消費者の行動を無理なく環境配慮型にしていくための理論的背景として、2017年ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーの「ナッジ理論」について、環境省および横浜市の政策立案者からレクチャーを受けました。ナッジとは、強制や罰則なしに「ついやってしまう」行動をデザインするための行動経済学の理論です。これをもとに、「自宅に比べ外出先では、ペットボトル、ラベル、キャップの分別をついついサボってしまい、適当に捨ててしまうのはなぜか?」という問題について、行動プロセス分析を行い、行動を阻む「摩擦」を見いだしました。

次に、最先端の具体的な取り組みを知るために、上記「ボトルtoボトル プロジェクト」の丸紅フォレストリンクス株式会社や、フェリスの自販機リサイクルボックスを設置・回収しているジャパンビバレッジへのヒアリングから、消費者がどのような行動をすれば、より効果的なリサイクルが可能となるのかを学びました。その上で、大学生として無理なく続けられる、外出先でのPETボトルリサイクルのための回収ボックスと、その周辺環境のデザインを考案しました。最後に、全国自治体の政策立案者やデザイナーなど実践者の方が参加するナッジ研究会にて、PETボトルリサイクルボックスの課題設定、解決案、デザインの流れを「ReBorn by Yourself!」というストーリーでプレゼンし、多様なフィードバックをいただきました。

学んだ理論をベースに実際に行動を分析していくプロジェクト演習の過程で、活発な現場の方々との意見交換や、マイボトル派vs PETボトル派のディベートなどによって、消費者の無意識の行動パターンの多様性を洗い出すことができました。授業は終わりましたが、今後は、多様性を尊重しながらより良い行動を促していくデザインを、「ボトルtoボトルプロジェクト」と連携させながら展開させていく予定です。履修者からは、授業という範囲を超えて学びと実践をつなげていくことができ、非常に有意義だったという感想が寄せられています。

国際交流学部国際交流学科准教授 高雄綾子

学内PETボトル自販機周辺のリサイクルボックス調査
環境省、横浜市、丸紅フォレストリンクス(株)の皆様との意見交換
最終プレゼンの様子
PETボトルリサイクルボックスを自作する履修者