バリアフリー通信 vol.6

私たちにできること

こんにちは。
あの未曾有の事態から100日が過ぎてしまいましたが、傷が癒えたとはまったくいえない状況です。
私たちも、普段の生活のことに限らず、命の大切さ、社会的に弱い立場の方々について改めて考えさせられました。 そのようなことから、4年目を迎えた今年は、自然と活動が震災と結びついたものとなっているように思います。

今回は、そんなトピック2つを紹介したいと思います。

5月27日、山手のフェリスホールで行われたキリスト教講演会で、今年もスクリーンテイク(Vol.4 注ⅰ参照)を行いました。今回は日本基督教団千代田教会の太田春夫先生に東日本大震災の復興支援についてお話ししていただきました。

左側が講師によるスライド投影、右側がスクリーンテイクの字幕の様子です

今回の講演会に向けての練習はGW明けから本格的に開始しました。お話の中では特に大きな被害を受けた東北地方の地名が多く出てくると聞いたので、事前に調べて準備をしていました。私たちが普段聞きなれない地名に初めは苦労しましたが、事前準備のおかげで当日は無事通訳することができました。
今回は多くの新スタッフに参加してもらったほか、久しぶりに活動をするテイカー合わせて11名が一緒に練習していました。特に新人のテイカーさんの自主練習している姿には、私も見習わなければならないと痛感しました。人数が多くなった分、スムーズにいかないことやトラブルもありましたが、新しくタイムキーパーを設置、補助の人数を増やすこともでき、大人数を活かしてうまく役割分担できました。全体を通して安定したテイクができたと思います。今回の経験を次の講演会、東北支援のための遠隔通信テイク(後述参照)に繋げていければいいなと思います。

震災の影響で入学式が中止になったために、スクリーンテイクを公の場で行ったのはこの講演会が今年度初でした。初めて情報保障を知った新入生がほとんどだと思います。今後もこのような場でのテイクで、多くの人にバリアフリー推進室の活動に興味関心を持ってもらえたら嬉しいです。

当日のメンバー大集合!

(文:松延美佑)

東日本大震災から3か月、今なお多くの方が復興への道を歩んでいます。私たちも何か力になりたいと思い、行ったのが「モバイル型遠隔情報保障システム」を使った被災地にある大学への情報保障です。
聴覚障がい学生は講義を受けるとき、障害によって得られる情報量に差異が起きないようにノートテイク(Vol.1 注1参照)などによる情報保障を利用することができます。しかし、震災による何らかの事情から、情報保障が受けられなくなった学生を支援するため、日本聴覚障害学生支援ネットワーク(PEPNet-Japan)の呼びかけに賛同する形で始まりました。

バリアフリー推進室内の 「入力スタジオ」の様子

この支援に使う「モバイル型遠隔情報保障システム」とは、『2~3名の入力者が連携しながら話者の言葉を要約して字幕化する「パソコンノートテイク」を、携帯電話に表示させるシステム』です。[PEPNet-Japan, 2011] 携帯電話で東北で講義している先生の声をフェリスに届けます。それを私たちがパソコンを使ってテイクし、作成したテイクの字幕をインターネットを介し、東北地区の聴覚障がい学生のiphoneに表示させる仕組みです。これにより、フェリスにいながら東北地区の大学の講義をテイクすることができます。

「テイクをする」こと自体は学内で行うものとは変わりませんが、場所が違うと普段当たり前のことがそうではなくなります。教室の状況が音声でしか伝わってこないので、現地での先生や学生の様子が見えません。先生の板書も、書いているチョークの音は聞こえるけれども、何を書いているかは推測でしか判断できません。また、携帯電話を使用しているため、音声も場合によっては明瞭に聞こえなくなるほか、通信が途切れることもあります。

しかし、お互い遠隔での支援は初めてなので、対処がわからないのは仕方のないことです。そこで、講義が終わった後、東北地区のサポート学生、聴覚障がい学生と電話で、次回に向けての話し合いをします。これにより、支援の技術が毎週進歩できるよう努力しています。

バリアフリー推進室では、宮城県にある2つの大学(宮城教育大学、宮城学院女子大学)への支援を行っています。障害を持つ学生が1日でも早く「普通に」講義を受けられることができるようにと願いつつ、これからも東北支援のための遠隔通信テイクを行っていきたいと思います。

(文:吉弘彩乃)

※フェリスでの東北支援のための遠隔通信テイクの取り組みは、2011年5月11日東京新聞、同年6月1日読売新聞・神奈川版に掲載されました。

いかがでしたか。
これからも私たちにできることを通して、東日本大震災への支援をしていければと思います。

そして、もちろん学内での活動も行っていきます☆ 今年も学祭に向けてだけでなく、とあるプロジェクトが動いているとかいないとか・・・ 次回もお楽しみに!

ⅰ聴覚に障害を持つ人々に音声情報を伝達する手段や活動 [太田, 1998]
引用文献
太田晴康. (1998). パソコン要約筆記入門. 人間社.
日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan).被災地の聴覚障害学生を全国の大学生が支援-東日本大震災により被災した大学へのモバイル型遠隔情報保障システムを用いた支援の実施について-(2011年5月9日). 参照日: 2011年6月19日, 参照先:PEPNet-Japan:
http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ce/xoops/modules/tinyd1/index.php?id=165&tmid=274

フェリス女学院大学 バリアフリー推進室
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