バリアフリー通信 vol.25
2020・2021年度

「コロナ禍でのバリフリの活動」

バリフリ通信、すっかりご無沙汰になってしまいました。(申し訳ございません。)
2020年度~2021年度はコロナ禍でバリフリも目まぐるしい日々を過ごしました。そんな中、学生スタッフは模索しながらも日々の活動や支援についてできることを一つずつ行ってくれました。学生スタッフと支援を受けた学生の声を紹介します。ぜひご覧ください。

コロナ禍ということで対面での活動が制限され、遠隔でできる活動が求められるようになりました。そこで、多くの新たな試みがなされました。

一つ目は、captiOnlineを使用した遠隔でのパソコンテイクです。パソコンテイクとは、講演会等で行う、耳が不自由な人へ向けて話の内容をその場でパソコンに打ち込み、文字として表示する情報保障です。以前は、IPtalkを用いて有線で行っていたのですが、無線LANを使ってweb上でパソコンテイクを行うことのできるcaptiOnlineを用いることによって、離れた場所で行うことが可能になりました。音声の明瞭さや通信環境によるタイムラグなどの問題はありましたが、場所にとらわれないで行えることは魅力的に感じました。

二つ目は、音声認識機能を用いた翻訳文字通訳アプリのUDトークの利用です。UDトークとは、音声認識機能を活用した情報保障で、話者の内容をリアルタイムで文字通訳が可能です。一方で、完璧に認識できるわけではないので、誤字・脱字等では修正するといった補助が必要になります。実際に、本学主催の就職講座の際に用いたのですが、誤字・脱字の他タイムラグ等の課題がありましたが、リアルタイムで字幕を作成できるメリットは大きいと感じました。また、基本は字幕の修正が主な作業となるので、スタッフの人数が少なくパソコンテイクが難しい際に活用していけたらいいのではないかと思いました。

三つ目は、学生スタッフミーティングのオンライン開催です。
昼休みにZoomを用いて、ミーティングをしたり、パソコンテイクの練習をしたりしました。どのスタッフも参加できるよう週ごとに異なる曜日で行いました。

四つ目は、キリスト教講演会や大学祭の学校案内の動画への字幕付けです。
オンライン授業の形態がとられてから行うようになった活動で、YouTube動画に字幕付けをしたり、Vrewというソフトに動画をダウンロードして字幕付けしたりしました。

今年度の活動は、遠隔での活動がメインとなり、誰も経験のないことばかりで手探りの状態から始まりました。今までの活動を継続するのか、新しい活動に切り替えていくのかなど試行錯誤する中ではありましたが、それにより自分たちの活動の必要性や意義を見つめ直す機会になったのではないかと思います。私自身もまた、対面・遠隔での活動の両方を経験でき、多くの発見と学びがありました。
まだまだ元の形態での活動は難しい環境ですが、今後の活動がさらに良いものになるように引き続き励んでいきたいと思います。

(文:Y.Y)


入学式にて遠隔でのパソコンテイクの様子

私は今年度の前期、視覚障がい学生の授業サポートを行いました。今まで障がいを持つ方のサポートをしたことのない私がなぜこの活動をしようと思ったのかというと、それはあるアイドルの方の存在がきっかけでした。緊急事態宣言が出され、家の中で過ごす時間が増えたことで私はYouTubeを見る時間が増えていました。そこで出会ったのが、あるアイドルの方の存在。その方はアイドルとしての活動だけでなく、手話を独学で勉強しそれを紹介したり、番組に出て障がいを持つ方々のことを学び伝えようとしていたのです。私はそんな姿に影響され、私にも何かできることはないかと、大学に掲示されていたポスターで知ったオンライン手話勉強会に参加しました。そこからこのバリフリの活動や授業サポートのことを知りました。多くの不安もありましたが、スポーツ実習(世界の舞踊)の授業サポート募集をみて、この活動なら今までやってきたことを生かして私にもサポートできるかもしれないと勇気を出して応募を決めました。

いざサポートをしてみると、先生が教える体の動きを口頭で説明することは思っていたよりも難しく、言語化の大変さを痛感しました。これをこうやって動かして、と説明される動きは目が見える私たちは何にも難しいことはないのですが、視覚障がいの方々はこれを言葉だけで理解し、そのうえで身体で表現するという、なんてすごいことをやっているのかと、ただただ驚きと尊敬の念を抱いていました。そのうえ一度聞いた説明でほとんど覚えてしまい、常に凛と踊っている姿をみて私ももっと力になりたいと思い、上手く伝わる方法を試行錯誤しながら誠心誠意サポートしようと決めました。

ただコロナ禍でのサポートは、どこまで近づいたり直接触れて説明していいのか、と戸惑う場面もありました。私自身がダンスやバレエを習ってきた経験と伝わりやすさを考えて、違っている部分があればなるべく直接触れながら「ここをこう動かす」と伝えるつもりでいました。しかしそういった心がけもコロナ禍で不安もありましたが、視覚障がい学生の許可やバリフリの職員の方の指導もあり、感染対策をしながら順調に進めることができ、また先生が用意してくれた人体模型(私たちは骨子さんと名付けました)を使いながら体の動きを共有していきました。

最初は上手くサポートができるのか、そして何よりも障がいを持つ学生と良い関係を築くことができるのかと不安でいっぱいでしたが、その不安も一切なくなるほど授業を通して良い関係を築くことができましたし、この授業で扱ったフラダンス、よさこいの両方の振り付けも私の拙いながらの説明を受け取ってくれて、それぞれその踊りの良さを活かした表現ができるようになっていました。私は個人的にこの学生の踊りがすごく好きだなあと思うほどです。最終授業日の発表会で踊っている姿をみて、このサポートをしてよかったなと思いましたし、何よりも多くのことを学ぶ機会となりました。ほんの一部かもしれないけど、視覚障がいを持つ人々が生活の中で感じることを想像する大切さや、そのうえで私はどうサポートすればよいのか、と多くのことを考えるきっかけとなりました。この活動が終わった後も、学内で会ったら話をしたり、一緒に遊びに行ったりとその学生さんとは今も交流を続けています。この縁は何よりも活動の中で得た大きな出会いでしたし、この経験で他の学生や、何か助けを必要としている人に出会ったらサポートをしようと思うことができました。コロナ禍でのサポートは悩みながらのものではありましたが、そもそもこの経験はコロナ禍だったからこそ出会えたものでしたし、それは自分の中でも大きな出会いであったと思います。これからも、どんな状況下であろうと立ち止まることなく、自分の心が動いたとき、それに身を任せて常に前に進んでいきたいと思います。

(文:M.A)

バリアフリー推進室では、障がいをもつ学生が、障がいをもたない学生と等しく学ぶことができるよう、学生スタッフが情報保障や教室移動の補助などのサポートを行なっています。視覚障がい学生への情報保障の一つである「電子データ化作業」は、対面で行われる直接的なサポートとは異なり、在宅での作業がメインです。
今回は、この「電子データ化作業」について紹介します。

「電子データ化作業」には、主に「テキストデータ化」と「楽譜データ化」があります。「テキストデータ化作業」は、視覚障がい学生が資料を読むことができるよう、サポートするものです。原本をスキャンして読み取り、文章データの校正作業を行います。校正作業では、スキャンの際に発生した文字の誤認識や不要な改行など、見落としのないよう注意しています。
また、文章の他に、図表のテキスト化も行います。特に、複雑なグラフは情報量が多いため、テキスト化には時間を要しますが、常に丁寧な作業を心がけています。

「楽譜データ化作業」では、音楽学部に所属する視覚障がい学生が、授業やレッスンで使用する楽譜を読むことができるよう、サポートします。MuseScoreという楽譜制作ソフトを使用して楽譜を電子化し、音が出る状態にすることで、楽譜に書かれた情報を視覚障がい学生に正しく伝えます。楽譜の原本をスキャンして電子化する方法もありますが、音や記号の誤認識が多発してしまうため、学生スタッフが一から入力し、楽譜を完成させます。音を打ち込んでいる途中にも、間違っている部分がないか、繰り返し再生して細かくチェックします。
私は、楽譜制作フトを使うのが初めてだったため、使い方を覚えるのに時間がかかりました。しかし、回数を重ねるごとに入力のスピードも速くなり、効率化を重視しながら作業を進められるようになりました。

電子データ化を担当する学生スタッフは、障がい学生と直に接する機会はほとんどありませんが、対面でのサポートと変わらず、責任を持って作業にあたっています。
この2年間は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、学内での活動が制限されることも多くありましたが、このような状況下だからこそ、対面形式以外のサポートについて、深く考えることができました。
多様なサポートのかたちを知り、今置かれている環境の中で自分ができることは何かを考えることは、とても大切なことだと感じます。

(文:Y.N)

大学に入学してからの4年間、移動や授業のサポートを受けることを通じて多くの人と出会い、多くのことを学ぶことができました。入学した当初は抵抗や申し訳なさがありましたが、サポートを受けていく中で、不安な時は頼ってもよいということを学びました。

移動サポートでは、自分の状況や不安なところをどのように伝えればよいかを学ぶとともに、目的の場所に行くための道順や注意すべきところを一緒に確認していただき、学内で、一人で安全に移動できる場所を少しずつ増やしていくことができました。

授業においては、板書や映像の解説、字幕の読み上げをしていただくことで、自分が得ていた情報がいかに少なかったかを知るとともに、今まで得ることができなかった情報を補い、より理解を深めることができました。また、授業で使用するレジュメやテキストなどをテキストデータにしていただいた他、紙媒体の楽譜をソフトでデータ化していただきました。これにより、予習や復習、分からない部分の確認などをすることができ、より学びを深めることができました。昨年はオンライン授業が主体となったため、サポートしていただくことが可能なのか、どのように依頼をすればよいか、とても不安でした。しかし、ZoomやLINE通話を通して映像や板書の解説をしていただいたことで、遠隔授業においても理解を深めることができ、離れていてもサポートを受けることが可能だと実感しました。

さらに、サポートを受けることを通じて、多くの人と出会い、友人をつくることができました。そして、サポートが必要なことについてどのように伝えればよいかを学ぶことができました。私にとってサポートを受けるということは、安心して充実した学生生活を送るために必要なことであるとともに、学びと出会いの場を広げることができるとても貴重な機会でした。そして、それは決して恥ずかしいことではなく、理解を深め、世界を広げるきっかけとなると感じました。

コロナ禍に入り、今までとは違う難しさもありますが、このような時だからこそ、新たなサポートの形が生まれ、定着していくのではないかと感じています。そして、どのような状況であっても、勇気を出して依頼することが、充実した学生生活と、新たな出会いにつながるのではないかと考えます。

(文:Y.N)

フェリス女学院大学 バリアフリー推進室
〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
TEL:045-812-8315  FAX:045-812-8467  e-mail:barrierfree
場所:緑園キャンパスCLA棟2階
開室時間:平日 9:00~18:00