レインボウ21 サントリーホール
デビューコンサート 2015

レインボウ21 サントリーホール<br>デビューコンサート 2015

フェリス女学院大学プロデュース
戦争と音楽 ~闇から光へ~
War and Music - From Darkness to the Light -produced by Ferris University

  • 日時:6月9日(火)19:00開演(18:20開場)
  • 会場:サントリーホール ブルーローズ
  • 料金:2,000円 ※全席自由
  • 主催:サントリーホール
  • 協力:フェリス女学院大学
  • 企画:堀口利沙
  • 制作:堀口利沙、青柳瑠璃、岩野弥々、狩野有紀、首藤真希
  • 出演:青木真実、青木礼実、鈴木彩音、小沼実和、高木梓、菊地理恵、落美月、高橋いつみ、丸尾友貴、田中綾乃、山本彩秩子、勝田佳捺絵、片山桜子、フェリス・フラウエンコーア(女声アンサンブル)
  • 曲目:こちらから

コンサート・企画の趣旨

第二次世界大戦終結から70年を迎えるにあたって、この節目の年に戦争や平和について考えたいと思い企画しました。
戦時中、音楽は戦意を高めるために利用され、人々は戦争の道へと突き進んでいきました。一方で、平和を願っていた作曲家による音楽は戦時下の人々を団結させ、希望を与えました。
これらの音楽が意味しているものや、込められている思いを何か感じ取って頂きたいです。
この企画が戦争を繰り返さないためにはどうすればよいかということを考えるきっかけになればと思います。

コンサートのみどころ

その7 「戦争と音楽~闇から光へ~」無事終演!
レインボウ21フェリス女学院大学プロデュース「戦争と音楽~闇から光へ~」無事終演いたしました。
当日は心配していた天候もなんとか持ちこたえ、318名のお客様にご来場いただき大盛況のうちに幕を閉じました。最後のカーテンコールではマネジメントチームも全員壇上に上がり、あたたかい拍手に感激しました。

写真提供:サントリーホール

お聴きくださるお客様にはこの演奏会を通してなにかを感じてほしい、考えるきっかけにしてほしいと思っていました。いただいた感想を見ると私たちの想像以上にこのテーマに真剣に向き合い、考え、感じていただけた様子がわかり、そういった意味でも大成功だったのではないかと思います。

アンケートの中から、貴重なご意見の一部をご紹介します。
「戦争について何も知らないと思ったので来ました。良い勉強になりました。これを機会にもっと戦争について知ろうと思います。」(20代女性)
「若い皆の真っ直ぐな心が演奏から歌声からビシビシと伝わり感動しました。」(60代女性)
「とても良い企画でした。若い方々、とても頼もしく感じました。第二次世界大戦終戦から70年の節目の年、私たちは何をすべきか?などこれから考えて、行動しなければと強く思わされました。」(60代女性)
「心がドキドキして再度戦争の恐ろしさを感じた」(50代女性)
「どれも演奏に心がこもっていた。メッセージが伝わってきた。インパクトの強い良いコンサートでした。」(60代女性)

企画者をはじめマネジメントメンバーや演奏者が伝えたいメッセージを、演奏や演出を通してお客様のもとへ届けることができてとても嬉しく思います。 また、選曲、詩の朗読やプロジェクションマッピングの演出、舞台進行など様々なご意見やアドバイスも頂戴しました。お客様がそれぞれこの公演に真剣に向き合ってくださったことがとてもよく分かり、ありがたく思うと同時に、いただいた意見を今後の活動に生かしていきたいと思いました。
アンケートにご協力いただきました皆様、ありがとうございました。

我々マネジメントチームは今回の公演を通して様々なことを学び、たくさんの経験をさせていただきました。著作権の確認や申請に戸惑ったことや、チケットの売れ行きをとても心配した時期もありました。本番を2週間後に控えた試演会でたくさんの課題が浮き彫りになった時は皆で愕然としました。終演して改めて思うことは、演奏会はひとりの力では決して作ることが出来ない、たくさんの方の協力があってはじめていい演奏会になるのだということです。
ご来場いただいた皆様、Facebookなどで応援してくださった皆様、ご協力いただいた先生方、そしてお世話になりましたサントリーホールの皆様、この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

そして私たちは、この演奏会をゴールとせず今後も戦争と音楽そして平和について考え、形を変えてアウトプットしていきたいと思い、あらたな活動をスタートさせています。今後とも応援をよろしくお願いいたします。

その6 秋岡学長インタビュー

本学学長である秋岡陽先生にインタビューをしました。この演奏会に対する学長の思いを直接うかがうことができ、また貴重なお話もたくさん聞けて、マネジメントチームも刺激を受けました。

●最初にこのテーマを聞いたときどのようにお感じになりましたか?
戦後70年なのでタイムリーな企画だと思いました。それと同時にみなさんから見て70年がどのくらいの長さなのだろうかと。特に若い人からするととても昔のことですよね。70年前を振り返り戦争と平和を考えることはとても大事ですし、難しいことです。70年経つと記憶が薄くなりますが、あえてそれを振り返ろうという企画の意味の大きさ、難しさ。もしうまくできたらすごくいい企画だなと思います。

●今回のプログラムで思い入れがおありの曲はありますか?
戦時中の曲、とくにたかの先生が編曲された「Children’s Songs at Wartime(戦時の唱歌)」です。戦時中の曲は、実は音楽芸術学科で授業を担当していたときに取り上げていました。昔の歌を実際に振り返り、他にも長期休暇で実家に帰る人には、ご家族の方に当時の曲について話を聞くことをすすめていました。
昔の歌は、当時それを歌っていた人たちの気持ちを引き出すのにとてもいいのです。様々な歴史の資料がありますが、音楽の資料、特に歌の資料は第一級の歴史資料だと思います。特に、どういう気持ちでその音楽と接したかという部分は、文章ではなかなか出てこないものが引き出せるのです。そういった歌を歌うと、「戦争で日本がまだ勝ち進んでいてわくわくした」と語るおばあちゃんがいたり、「もう二度と歌いたくない」と話してくれる人がいたり。いろいろなことを聞くきっかけになります。戦時の歌を歌い継いでいく、あるいは聴くのはすごく大事なことだと思います。皆さんも気付いたかと思いますが、戦後に消されてしまった歌詞がありますよね。戦時中に起こったことを、当時の歌詞のままで知るのはとても大切なことだと思います。(筆者註:「Children’s Songs at Wartime(戦時の唱歌)」では、歌の歌詞を復元させています。) 他に興味深いのは、尾崎宗吉さんの曲です。尾崎さんは戦争で亡くなられましたよね。私から見るととても若い。同じように若くして作曲家を志したものの、戦争によって活躍の道を絶たれた人たちの想いを振り返るのは大事なことだと思います。私の親戚に、やはり美術学校で絵を描いていたのですが戦争で亡くなった人がいます。今でも長野県の無言館という施設にその人が描いた絵があるのですが、もし生き延びていたとしたら、戦後どのように活躍していたのかなと。芸術家として同じような人生を辿った尾崎は、音楽の面でどんな演奏家だったのか、興味深いです。
それから中田喜直先生はフェリスでずっと教えていた本校にゆかりの深い先生で、今回の曲もよく知っています。先生は戦争についても発言していました。特攻隊になる訓練を受けていて死んでいたかも知れないのに生き残ったという経験をお持ちで、平和や弱い人へのまなざしが人一倍強かったと思います。そういう音楽を皆さんが弾き継いでくれるのはとても嬉しいことです。
日本だけでなく、ヨーロッパで戦争はどのように捉えられていたのかも考えようと、メシアン、プーランク、カザルスの曲などを取り込んでいて、とてもおもしろいプログラムだと思います。

●秋岡先生がこの記事を読んでくださっている方に「戦争と音楽~闇から光へ~」を宣伝するとしたらどのような点がポイントになりますか?

学生が企画した演奏会だという点が宣伝のポイントだと思います。そして70年経って戦争の記憶が薄れつつある現代に、もう一度きちんと問い直そうとしている点もとても大事なところかなと思います。本校では留学生たちと広島を訪問する平和学習のプログラムがあるのですが、現地の人で体験談を話してくださる方がだんだん亡くなっています。語り継いで行くにはどうしたらいいのかと思うのですが、そんな中で逆に経験したことの無い人が自分たちで考えようとすることは重要ですね。

先ほど音楽は第一級の歴史資料であるという話をしましたが、歌、あるいは音楽は武器にもなりえると言う部分にも着目していてすごいなと思います。歌って気持ちを高めるじゃないですか。それをうまく使えば「戦うぞ」という気持ちにさせることも出来ますよね。音楽の持っている怖い力の面もきちんと捉えようとしていて、それだけでなく平和を祈る事も出来るという、その両面を演奏会で取り上げたいとあり、すごくいい企画だと思いました。

●サントリーホール主催のレインボウ21という企画についてどのようにお考えですか?
学生や学校から見ると、サントリーホールがサポートしてくれる形で夢を実現させられるありがたい企画だと思います。皆さんが企画力や、実際に運営する力をのばすことは向こうからも期待されている事なので、積極的にこのチャンスを利用して将来に役立てて欲しいと思います。
2011年に「ピアノ七変化」で企画をした先輩たちも見事な活躍をしていたので、皆さんも頑張ってください。

戦時中の音楽について研究されていたということもあり、私たち学生とはまた違う視点でのご意見をお聞きすることができました。秋岡先生のおっしゃるように、この演奏会はマネジメントチームや演奏者にとって、なかなか経験のできないものです。多くの方に音楽のもつ力を感じていただけるように、本番に向けてより一層力を入れていきたいと思います。 ありがとうございました。

その5 演奏者たちに聞く Vol.4

演奏者たちに今回のテーマや曲に対する思いを聞くシリーズの最終回です。

◆プーランク:矢車菊
◆プーランク:『ルイ・アラゴンの2つの詩』から第1曲「セー」
◆武満 徹:死んだ男の残したものは
田中綾乃(2013年度大学院演奏専攻修了/ソプラノ)
●ご家族から戦争のお話を聞いたことがありますか?
祖父が東京の下町に住んでいた時に学童疎開があり、祖父は東京を離れましたが、様々な事情があり疎開せずに東京に残っていた同級生が何人も亡くなったという話を、母が手紙で送ってくれました。 祖父は母にそのことを口で話すことはなく、ノートに記していたのだそうです。言葉にするには、あまりにつらかったことだったのだろうと思います。 私はその話を聞いて、とてもショックでした。幸いにも、私はそこまで“死”が近いものであるという感覚がないためです。私の想像には及ばない苦しい時を乗り越えてなお生きていた、今は亡き祖父へ敬意を込めて演奏したいです。

山本彩秩子(大学院演奏専攻2年/ピアノ)
●ご家族から戦争のお話を聞いたことがありますか?
祖母からよく空襲の話を聞きました。祖母の語り口から、焼け野原の光景や爆弾の落ちる音が浮かび、幼い頃の私は怖くなったことを覚えています。私の出身は宮崎県で、通学路の近くには防空壕が形そのままに残っている場所があり、戦争が現実にあったことがわかります。鹿児島県が隣県な事もあり、知覧特攻平和会館には何度か足を運びました。 そういった場所も、祖母の話も、戦争を体験したことのない私に悲惨な現実を伝えてくれた貴重な場所です。

◆ブリテン:チェロ・ソナタ ハ長調 op. 65から 第3楽章「エレジア」、第4楽章「マルチア」
◆カタルーニャ民謡/カザルス編曲:鳥の歌
勝田佳捺絵(2015年3月演奏学科卒業/チェロ)

●「戦争と音楽」というテーマを聞いてどのような印象を受けましたか?

私は以前から戦争の話題に興味を持っており、高校生の時には、日米の戦争体験者にアンケートを取り、戦時中音楽はどのような役割を持っていたか、というテーマのレポートを書いたことがあります。そのため、今回の企画にも興味津々でした。
音楽は音であり、言葉ではないので、弾く人によって、聴く人によって、捉え方は多種多様です。

言葉によるコミュニケーション手段が大部分を占めているこの世の中、言語を用いず楽器を使い、音だけで自分の気持ちを表現できる音楽は非常に難しいながらすばらしい発明ではないかと思っています。戦時中も言葉には出来ないけれど音になって生まれてきた音楽はたくさんありました。例えば、戦争で命を落とした友へ平和を願いながら作曲し捧げた曲や、軍隊の行進を真似たフレーズを用い、戦争中の人々の緊張感を表している曲など、表向きでは大っぴらに出来ない(政治的背景により)曲などです。
今回演奏するにあたり、まずは歴史背景を勉強し作曲家の考えや想いを読み取る努力をし、あとは自分の解釈で自分にしかできない演奏をしようと考えています。

片山桜子(演奏学科4年/ピアノ)
●「戦争と音楽」というテーマを聞いてどのような印象を受けましたか?
私は今まで音楽を学んできて、演奏をするときには、自分の経験や体験など身近なものや自分の中にあるものから想像を膨らませて表現してきました。ですが、今回のテーマは戦争と音楽。戦争については学校の授業で学んできましたが、体験はしていないので、人間にとってとても重大なテーマのはずなのに、私は何をイメージし、何を伝えたいのか正直わかりませんでした。私たち演奏者のひとつの使命は作曲家の思いを伝える、ということですが、主観的にとらえ表現しなければ何も伝えることはできません。まだ今は模索中で頭のなかのイメージもまとまっていませんが、戦争の時代を生きたブリテンとカザルスに思いを馳せながら、自分の音で音楽を表現したいと思います。

本番まであと1週間… ~学内試演会~
5月25日・29日に2日間にわたって、山手キャンパスのフェリスホールで試演会を行いました。演奏者にとってもマネジメントチームにとっても有意義な機会となりました。本番まであと1週間となりましたが、さらに磨きをかけて、全員でいい演奏会にしたいと思います。

その4 演奏者たちに聞く Vol.3

演奏者たちに今回のテーマや曲に対する思いを聞くシリーズの第3弾です。

プーランク:フルート・ソナタ
髙橋いつみ(2014年度大学院演奏専攻修了)
●「戦争と音楽」というテーマにどんな印象を受けましたか?演奏する曲について教えてください。

戦争と音楽。学生を中心とした若い世代がこのテーマを持つことは非常に意味のあることだと感じました。歴史を振り返ってみると、どの時代も若者が声をあげ、変えていく力となっていたからです。戦後70年、日本は平和です。この平和を築き上げた根底には戦争があります。多くの数えきれない悲しみの上で今日があります。
戦争を経験していない私たち、未来の子どもたちが知り考えなければならない、戦争と平和。
時間が絶つにつれて戦争の語りべが少なくなり人の記憶も薄れていきます。「昔話」にならず危機感を持って知ること考えることが難しくなっていきます。 しかし、その時代を生きた作曲家が音楽に託した記憶は薄れません。音楽を勉強する私たちに出来ること、それは演奏することで音楽の記憶を蘇らせることだと考えます。音楽は形なき遺産だと思います。
今回の演奏会では、聴いてくださる方々へ音楽を通して戦争と平和にじっくり向き合える時間を作り上げることが私たちの役割だと思っています。
私が演奏するプーランクのフルート・ソナタは戦争が終わり新しい時代を歩んでいた頃の音楽です。フルーティストで知らない人はいないと言ってよいほど名曲中の名曲です。
作曲経緯から作品自体に戦争に関わるメッセージを直接感じるものではありませんが、それでも影響があったのではないかと思うところがあります。
当時のパリを彷彿させるような憂いと気だるさにプーランクの持つ気品や茶目っ気が相まって魅力的な第1楽章。ころころ変わる展開は、戦後目まぐるしく変わる世の中を反映しているのかもしれません。第2楽章のフルートの旋律は郷愁漂う美しい音楽です。まるで『セー』のオマージュのような旋律です。もし仮にそうだとしたら、1943年に書かれた『セー』はリアルな悲惨さの中に希望が込められた作品に対し、こちらは1950年代になり戦争で犠牲になった人々が天上で安らぎを与えられたことを祈るような音楽に感じます。このような旋律に対してピアノは慟哭ともいえる魂の叫びのような要素があり、『セー』に表される悲惨さに近いものを感じます。
未来への活力が溢れるような第3楽章は、戦争を経た人々の生きていく力強さを感じさせる音楽です。
演奏会全体の中でプーランクのフルート・ソナタを演奏する意味を考えながら練習に取り組んでいます。

丸尾友貴(2014年度音楽学部ディプロマコース修了/ピアノ)
●ご家族から戦争についてのお話を聞いたことがありますか?

私には90歳になる祖父がいます。
終戦記念日になると必ずといっていいほど祖父と話をします。
私が祖父から戦争の話を聞きたいからです。
以前祖父に「戦争が終わった時どう思った?」と聞いた時、祖父は「何も思わなかった」と答えました。
「そんなものかなぁ」と思いましたが、すぐにこの言葉には複雑な意味が込められていることを感じました。
お国のためにと国民がいろいろなものを犠牲にした時代です。
現代を生きる私にはその複雑な意味を言葉に紐解くことはできませんが、いつも思うことがあります。
こうやって戦争を経験した人にその当時のことを聞けるこの時間を大事にしたいということです。
それと同時に私たちの世代が子どもをもち、その子どもが大人になったとき、誰が戦争を教えてくれるんだろう、とも思います。

戦争を体験した人から直接聞くことができなくなる未来では、その手段は語り継いでいくしかありません。
今回この素晴らしい企画に参加することになって、これも語り継ぐ一つの方法だと思いました。
特別なことではなく、普段私たちの日常である音楽でそれを実行すること、それはそんなに難しいことではないはずです。
こういった試み、試みようとする意志が次につながると思います。
ありふれているように思いますが、そのシンプルなことがやはり必要だと思います。
一つの演奏会を通して、共演者のみなさんときちんと意志をつなぎ、自分たちが今できる表現方法で「戦争と音楽」を伝えられたら、と思います。

その3 演奏者たちに聞く Vol.2

演奏者たちに今回のテーマや曲に対する思いを聞くシリーズの第2弾です。

◆尾崎宗吉:ヴァイオリン・ソナタ第2番(1938)
小沼実和(演奏学科2年/ヴァイオリン)
●演奏する曲について教えてください。
尾崎宗吉 ヴァイオリン・ソナタ第2番は、第1楽章・第2楽章・第3楽章で構成されています。第1楽章と第3楽章は激しい音楽なので、戦争音楽としては解釈しやすいと思います。これに対して第2楽章はがらりと雰囲気が変わり、テンポも遅く、静かな音楽です。第1楽章と第3楽章の間のこの楽章に、尾崎宗吉はどのような感情を表現しようとしたのか、それをいま一生懸命模索していますので、本番当日は3つの楽章のそれぞれの個性を感じ取っていただけたらと思います!

高木梓(演奏学科4年/ピアノ)
●「戦争と音楽」というテーマにどんな印象を受けましたか?また、演奏を通してどのようなことを伝えたいですか?

戦争を体験した人から直接聞くことができなくなる未来では、その手段は語り継いでいくしかありません。
今回この素晴らしい企画に参加することになって、これも語り継ぐ一つの方法だと思いました。
特別なことではなく、普段私たちの日常である音楽でそれを実行すること、それはそんなに難しいことではないはずです。
こういった試み、試みようとする意志が次につながると思います。
ありふれているように思いますが、そのシンプルなことがやはり必要だと思います。
一つの演奏会を通して、共演者のみなさんときちんと意志をつなぎ、自分たちが今できる表現方法で「戦争と音楽」を伝えられたら、と思います。

◆メシアン:『世の終わりのための四重奏曲』から第8曲「イエスの不滅性への賛歌」
菊地理恵(大学院演奏専攻2年/ヴァイオリン)
●「戦争と音楽」というテーマにどんな印象を受けましたか?また、演奏を通してどのようなことを伝えたいですか?
テーマを聞いた時にすぐに思い浮かんだのは、小学6年生の夏休みに母といっしょに観た朗読劇「月光の夏」のことです。太平洋戦争末期の昭和20年夏、二人の若い特攻隊員が佐賀県鳥栖市の小学校を訪れて、出撃前のお別れにどうしてもピアノが弾きたいとベートーヴェンの「月光」を弾いて行った、という実話がもとになっていました。絶望的な状況におかれながら、音楽を奏でることで精神的に解放されていったかのように、朗読劇の中の暗い重苦しい舞台で美しくも悲しくピアノが響いていたのを覚えています。
今回、様々な編成でこのひとつのテーマをもとに、コンサートを作り上げて行くわけですが、この流れの中できちんと自分の役割を果たすことができるよう、曲の背景を深く勉強し、作曲者メシアンの曲に込めたメッセージをお届けできれば幸いです。
捕虜収容所で作曲され初演されたのも収容所、というメシアンの8曲から成る最後の曲だけの演奏となりますが、前の7つの曲の流れも踏まえながら、私なりにイエスへの賛歌を心でうたうよう奏でたい、と思っています。

落美月(大学院演奏専攻2年/ピアノ)
●「戦争と音楽」というテーマについてどのような考えを持っていますか?また演奏を通してどのようなことを伝えたいですか?

「戦争と音楽」と聞いたとき、まず思い浮かんだのは「戦争と音楽」の2つは程遠いもののはずなのに、政治などによって接点を持ってしまった、という印象でした。
私は、音楽は人間の内から自然に出てくるものであって、人の心になくてはならない存在だと考えています。その力を戦争は利用して、人々の心に戦争を植え付けてしまった、つまり負の相乗効果のイメージでしかなかったのです。
しかし、戦時中音楽が果たした役割はもちろん、その負の役割だけではなかったことに、今回の企画を通して気づくことができました。

その2 演奏者たちに聞く Vol.1

今回の演奏者たちにいろいろな質問をしてみました。それぞれがさまざまな想いを持って演奏会に臨みます。

◆中田喜直:2台のピアノのための「軍艦マーチによるパラフレーズ」
青木真実(演奏学科4年/ピアノ) 青木礼実(演奏学科4年/ピアノ)
●曲の聞き所は?

だれもが知っている「軍艦マーチ」の他に、軍歌「戦友」や消灯ラッパのメロディーなどを加え、ショパンの「葬送行進曲」なども織り込まれていて、ひとつの音楽から様々な情景が浮かびあがるところです。

◆たかの舞俐編曲:Children’s Songs at Wartime(戦時の唱歌)
フェリス・フラウエンコーア(女声アンサンブル)
●曲の聞き所は?

日本の唱歌を、たかの舞俐先生が編曲された作品です。「兵隊さんの汽車」「星月夜」「われは海の子」と皆さんもご存じの3曲ですが、途中から私たちの知らない歌詞が出てきます。戦後、軍国主義的だとして削除・改訂された部分です。今回は、戦前のとおりに復元して歌います。戦後に生まれた私たちにはわからない唱歌に込められた気持ちを想像しながら、フラウエンコーアらしく言葉を大切に歌いたいと思います。戦争の始まりから終わりまでが目に見えるよう、たとえば攻め寄せる兵士の様子を足を踏み鳴らして表すなど、様々な技巧が凝らされた編曲です。今までのフェリス・フラウエンコーアとはひと味違った演奏になりそうです。

鈴木彩音(大学院演奏専攻2年/ピアノ)
●演奏する曲について教えてください。

楽譜が出来上がって初めて拝見したときから、隅々にまで楽曲に対する想いが感じられ演奏するのが楽しみになりました。ピアノを担当する私は、伴奏の作り方に強いこだわりを感じます。歌詞の内容に合わせて伴奏の形も細かく変わっているのです。例えば、「波」という言葉が入っている箇所では、波が流れているかのような滑らかな伴奏形、兵隊が歩いているところでは伴奏に和音が多く使われ力強いイメージが表現できるように工夫されています。そしてクライマックスへ……最後の部分では、ピアノにもちょっと仕掛けをして、打楽器のような音色を出す予定です。お客さまに届く演奏ができるようにがんばります。

その1 マネジメントチーム奮闘記

「レインボウ21」の大きなポイントは、何と言っても企画・制作から演奏に至るまでをすべて学生主体で行うところです。企画が選ばれて以来、制作を担当するマネジメントチームの学生と演奏する学生それぞれが、公演をより良いものにするために奮闘しています。

最初に、マネジメントチームについてご紹介します。マネジメントチームは5人の音楽芸術学科の学生で構成されています。この特設ページもマネジメントチームの担当です。

まずは、この公演の企画立案者である、音楽芸術学科2年の堀口利沙から皆様へのメッセージです。

「戦時中には、国が人々に戦争に賛成してもらおうとして、軍歌などを使いました。人々は軍歌の明るくかっこいい曲の雰囲気に乗せられて戦争の道へと歩んでいくことになりました。一方で、平和を願った作曲家の音楽は、戦争という辛く苦しい環境の中に置かれた人々に希望を与えました。今回の企画では、これら2つの音楽と、戦病死したり、戦争によって自由を奪われたりした作曲家の作品を取り上げたいと思います。
企画にあたって、音楽学部だけでなく、他学部の先生方にもたくさんお力をお借りしました。文学部の島村輝先生には、「写真週報」という戦前の日本政府が刊行していたグラフ雑誌を見せていただき、戦時中の人々の生活風景や、国が国民の戦争意欲を率先して高めていた、ということを知ることができました。また、島村先生にはコンサートで朗読する詩を選ぶにあたって、当時の文学界の状況について教えていただきました。今回の企画に詩を取り入れるということを発案していなかったら、「戦争と詩」について考えることはなかったかもしれないと、とても勉強になりました。また、コンサートのタイトルの英語表記War and Music- From Darkness to the Lightを決めるにあたっては、文学部の渡辺信二先生にご相談して、英語の微妙なニュアンスを教えていただきました。先生方には、コンサートを是非お聴きいただきたいと思っています」
彼女を支えるのは、音楽芸術学科3年の4人。全員が初めてマネジメント業務に関わります。今までは出演する側として舞台に関わってきた私たちがこの企画に関わることになったきっかけは、昨年度のアートマネジメントの授業でした。もともとマネジメントに興味があってこの授業を履修していた4人が、授業内でのスタッフ募集の呼びかけに応えて集まったのです。去年の年末のことでした。

そして、初めてのことに戸惑いながらもさっそく最初の仕事であるチラシ作りをスタートさせました。全員で案を出し合い、どうしたら多くの人の目に留まるか、試行錯誤しながら作り上げたイメージをプロのデザイナーさんにお伝えしました。そうして出来上がったチラシが、今、学内のあちこちに貼られています。


次に取りかかったのは広報・宣伝の仕事です。たくさんの方に来ていただきたい、という思いを一つに、まずはチラシを置いていただける施設を探すことから始めました。そして、授業の空き時間を利用してチラシの発送作業を行いました。また、facebookページも作って日々更新に励んでいます。「どうしたら興味を持っていただけるか」に頭を悩ませ、閲覧数や「いいね!」などの反応に一喜一憂です。これについては、国際交流学部の春木良且先生に常にアドバイスを頂いています。

このように、音楽大学ではない、総合大学であるフェリスだからこそできる公演にすることが私たちの目標です。演奏学科で本格的に演奏を学んでいる出演者と、音楽だけでなく他学部他学科の授業で様々な分野を学んでいるマネジメントチーム。そして、文学部・国際交流学部の先生方。そのバランスが私たちの強みであると思います。私たちの公演では、その強みを生かせるような演出にチャレンジします。ぜひご期待ください!