新入生の皆様へ~学長からのメッセージ~

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。フェリス女学院大学は皆さんを心から歓迎いたします。

ただ、今年度は新型コロナウイルスのため、波乱の幕開けとなりました。感染拡大を防止するため、入学式を中止としました。皆さんの中には、高校の卒業式にも参加できなかった人がいるかもしれません。

私たちは今、未曾有の危機の中にいます。不安を感じている人も多いでしょう。当然だと思います。なぜなら、私たちは、これまで経験したことのない状況に対処していかなければならないからです。

新型コロナ肺炎は、一夜にして社会のあり方を変えてしまいました。これまで確かだと信じていた現代社会が、いかに脆いものであるかを私たちは目撃しました。この疾病は、グローバリゼーションが高度に発達していたからこそ、今までにないほど速く世界中に蔓延しましたが、その疾病が逆に、世界のグローバル化を根本から破壊しようとしています。新型コロナ肺炎以前にも、自国第一主義や国家的エゴイズムがトレンドになっていましたが、この疾病の拡大とともに、私たちはますます国境線を意識せざるを得ない時代に引き戻されつつあります。

国と国の間のみならず、人々の心にも壁が生まれています。ウイルスは目に見えませんから、どうしても私たちは他人に対して疑心暗鬼になってしまうのです。疑いと怖れは差別を生みます。感染者の人々がまず救済されなければならないのに、逆にバッシングを受けるという悲しい事件が増えています。

この状況を克服するために、私たちはどうすればいいのでしょうか。「他人のことを自分のことのように配慮する態度」が何より重要であると私は考えます。フェリス女学院大学は「For Others」(他者のために)を教育理念として掲げていますが、まさにこの精神を身に付けることこそが、危機を克服する鍵になると思います。

社会的・経済的・政治的危機が続くと人々はスケープゴートを見つけて、責任を転嫁しようとします。物事を極度に単純化し、自ら考えることを放棄して、白黒・善悪をはっきりさせようとします。このような時に犠牲となるのは、決まって立場の弱い人々です。

私たちは、付和雷同して、そのような犠牲者を生んではいけません。「最も弱い立場にいる人々」を自分のこととして慮っていかねばならないのです。

この「For Others」の理念を具現化するためには、他者の状況を冷静に把握する知性と他者の心を慮る豊かな感性・想像力、自分とは異なるものを受け入れる柔軟性と広い視野、そしてなすべきことをなしていく決断力・実行力が不可欠です。これが本物の教養であると私は信じています。この教養があれば、「心のバリアフリー」「ボーダーレスな知性・感性」をも実現することもできます。

皆さんには、フェリス女学院大学で学ぶ間に、「For Others」の精神と「本物の教養」を身に付けて欲しいと切に願っています。

フェリス女学院大学へようこそ!

フェリス女学院大学
学長 荒井 真