キャンパスは出会いの場~学長メッセージ~

学生の皆さん

11月も残すところ少しとなり、後期も中間地点にさしかかりました。新型コロナウイルス感染症も幸いにして現在は小康状態を保っています。大学の授業は対面を基本としており、キャンパス・施設は、感染予防対策を行いつつも、コロナ禍以前とほぼ変わらない状態で利用可能となっています。
しかし残念ながら、キャンパスで目にする学生皆さんの姿は、いまだコロナ禍以前には戻っていません。もちろん、基礎疾患をもっている人や感染不安がある人もいるでしょう。しかし、もしそうでなければ、大学のキャンパスに来ないことで失っていることも多いのではないかと思います。

2021年度後期のフェリスの授業形態

フェリス女学院大学は、ハイブリッド対応を十全に行っています。ですから、在宅での授業で満足だと思う人がいてもおかしくはありません。しかし、ハイブリッドや遠隔授業は、たくさんの利点がありつつも、対面授業のすべてを補えるものではありません。
実技・実習系の授業・演習には対面でしかできないものがあります。しかし講義系の授業でも、対面には遠隔より優れた点が数多く存在します。言うまでもなく、モニター越しでやり取りすることのできる情報は限られています。遠隔では、視覚・聴覚情報のみですが、それだけでは教員や学生の熱意やその場の雰囲気を共有することができないのです。

学生と教員の対話が成り立つ授業こそが理想の授業であると私は考えていますが、皆さんの表情や反応が見えない状態では、なかなかそのような関係は成立しません。実は、授業をする教員は、皆さんの細かな表情やしぐさなどを見ながら、質問を考えたり、話し方、そして授業の中身すらも変えたりしているのです。授業は、教員だけが行うものではありません。対話の中で学生の皆さんと一緒に創り上げていくものなのです。
このように大学というのは、教員と学生が出会うことによって、お互いを高め合う場なのです。

キャンパスという場の持つ意味

教員との関係のみならず、キャンパスでの学びは、学生どうしの活動・経験を拡げることにも役立ちます。これまでオンラインでしか接点のなかった友人と実際に対面授業で出会うことによって、コミュニケーションが生まれますし、授業時間の前後に、課題についての意見交換や授業でわからなかったことについて確認し合ったりすることで、授業の理解度を高めることにもつながります。
授業以外でも、学食やカフェで何気なく過ごす時間や友達との雑談の中に、新しい発見や、刺激になることがたくさんあるはずです。1、2年生にとっては、部活動や就職活動といった先輩たちの行動も、近い将来の自分自身の進むべき道を決める際に、参考になることが多いと思います。

皆さんの就職活動を支援する就職課からも、オンラインのみでは、今後の学生の就活が行き詰まるのではないかとの懸念の声を聞きました。実際の就活では、モニター越しの面接のみならず、対面の面接もあり、皆さんを評価する人事の目が待ち受けています。
さらには、オンラインで毎日の生活習慣が乱れてしまっている学生が多いとも聞いています。皆さんの心と体の健康を保つためにも、キャンパスという場があります。

オンライン情報の限界

先日新聞を読んでいたら、日本出版販売ブックディレクターの有地和毅さんが、次のように書いておられました。

「通販サイトで本を買おうと検索すると、自分の購買履歴から選ばれた本ばかり紹介される。それはすべて過去の自分の延長だ。好みの本は最短で見つかっても、関心のない分野の本には出会えない。一方、書店で本を探そうとすれば手間も時間もかかる。でも棚から本を1冊取り出した時、その横にある本が急に目に留まることがある。それは新しい世界を開く扉かもしれない。ネットの「検索」では得られない金の鉱脈探しのような「探索」をする場。それこそ書店なのだと思う。」(毎日新聞2021年11月17日)

同じことが学問や人間関係にも言えるのではないでしょうか。

SNSでは、自分がこれまで関心をもってきた分野の情報が次々送られて来ますが、興味関心のない分野の情報は自動的に排除されます。レポートや卒業論文のための参考文献を、ネットだけで探すのと、フェリスのような開架式の図書館で探すのとでは、まったくちがってきます。ぜひ図書館で目星をつけた本の横の本を開いてみて下さい。カテゴリーで集められた本の中に、ネットにはないあなたが求めている情報があるかも知れません。
友人関係にしても、SNSでは似たような友達は増えるでしょうが、まったく異質な人物との出会いはありません。キャンパスでは、たまたま教室で隣に座った人との出会いが生まれたり、F Cafeで他愛ない話をしていると、友人の友人と親しくなったりすることもあります。

人と接する場としての大学

もちろん、異質な人物との出会いは、心地よくないこともあります。喧嘩やいさかいが生じる可能性もあります。しかし、お互いの異なった個性と個性が化学反応を起こして、大親友となることも確かにあるのです。
社会に出れば、否応なしにそのような環境に放り込まれますが、損得なしにそのような化学反応を体験できるのは大学在学中のみです。大学は、知識や技能の単なる切り売りをしているのではありません。新しい出会いを生み出す場を用意し、教員と学生、学生どうし、学生と学問のこれまでにない化学反応が起きることを期待しているのです。大学という出会いの場に皆さんが集うことを心からお待ちしています。

2021年11月24日
フェリス女学院大学
学長 荒井真