学長挨拶
自尊、連帯、個性 ~女性が中心にある学びを~
フェリス女学院は1870年に始まった、日本で最も古い「近代的女子教育機関」です。1880年代初頭から、高等教育も視野に入れていました。紆余曲折を経て、大学が設置されたのは1965年です。フェリスは、女子教育のパイオニアとして、誇り高い歴史を刻んできました。しかし、今、VUCA時代にあって、女子教育の有用性が問われています。共学にない、女子教育の現代的意味は何でしょうか。
まず、「女性」の中心性があります。近年、世界中で「女性」の社会進出は顕著ですが、まだ「男性」の中心性は揺るぎない。「女性」たちは、「男性」にとって都合が良い、「男性」の考えに逆らわない限りにおいて、高く評価され、用いられます。「女性」には、「男性」とは違う、独自の経験と主張があります。しかし、マイノリティとしての「女性」の経験と主張は、「男性」中心の社会では、重んじられることはあまりありません。共学の高等教育機関は、ほとんどが元男子校です。だから、そこに「女性」が入っても、それだけでは、平等は実現しません。
女子大学には、「女性」の中心性――「女性」の経験と観点を中心にした、学問と社会があります。「女性」を真に大切にする環境があり、それは「女性」の自尊心を育むと、私は信じます。
第二に、「女性」だけを集めた教育空間では、「女性」同士の連帯を育むことができます。これは頼もしいものです。私自身、「男性」社会で、アウトサイダーとして忌憚のない発言をし、はねつけられることがあります。そんな時、フェリス中高の同窓生、後輩たちは、例外なく、「言いたいことを言うのが、フェリス生。大丈夫。」と言います。そういう連帯の中から、女性のリーダーシップが生まれると思います。それは、権力者として振る舞うのではなく、権力を分かち合い、協力によって、何かを成し遂げるものです。
第三に、「女性」だけで集まると、その多様性が見えてきます。「女性」は「男性」の対極にある、一様な存在ではありません。一人一人異なる、ユニークな存在です。それが、「女性」だけが集まると、鮮やかに見えてきます。
フェリス女学院大学は、自尊心を持ち、姉妹の絆を大切にする、個性豊かな「女性」たちを育ててまいります。

学長小檜山 ルイ

学長小檜山 ルイ
フェリス女学院は1870年に始まった、日本で最も古い「近代的女子教育機関」です。1880年代初頭から、高等教育も視野に入れていました。紆余曲折を経て、大学が設置されたのは1965年です。フェリスは、女子教育のパイオニアとして、誇り高い歴史を刻んできました。しかし、今、VUCA時代にあって、女子教育の有用性が問われています。共学にない、女子教育の現代的意味は何でしょうか。
まず、「女性」の中心性があります。近年、世界中で「女性」の社会進出は顕著ですが、まだ「男性」の中心性は揺るぎない。「女性」たちは、「男性」にとって都合が良い、「男性」の考えに逆らわない限りにおいて、高く評価され、用いられます。「女性」には、「男性」とは違う、独自の経験と主張があります。しかし、マイノリティとしての「女性」の経験と主張は、「男性」中心の社会では、重んじられることはあまりありません。共学の高等教育機関は、ほとんどが元男子校です。だから、そこに「女性」が入っても、それだけでは、平等は実現しません。
女子大学には、「女性」の中心性――「女性」の経験と観点を中心にした、学問と社会があります。「女性」を真に大切にする環境があり、それは「女性」の自尊心を育むと、私は信じます。
第二に、「女性」だけを集めた教育空間では、「女性」同士の連帯を育むことができます。これは頼もしいものです。私自身、「男性」社会で、アウトサイダーとして忌憚のない発言をし、はねつけられることがあります。そんな時、フェリス中高の同窓生、後輩たちは、例外なく、「言いたいことを言うのが、フェリス生。大丈夫。」と言います。そういう連帯の中から、女性のリーダーシップが生まれると思います。それは、権力者として振る舞うのではなく、権力を分かち合い、協力によって、何かを成し遂げるものです。
第三に、「女性」だけで集まると、その多様性が見えてきます。「女性」は「男性」の対極にある、一様な存在ではありません。一人一人異なる、ユニークな存在です。それが、「女性」だけが集まると、鮮やかに見えてきます。
フェリス女学院大学は、自尊心を持ち、姉妹の絆を大切にする、個性豊かな「女性」たちを育ててまいります。
自尊、連帯、個性 ~女性が中心にある学びを~

学長小檜山 ルイ
フェリス女学院は1870年にメアリ・E・キダーがクララ・ヘボン(ヘボンの妻)の生徒を引き継いで始まりました。日本で最も古い「近代的女子教育機関」です。以来、主に中等教育機関として発展してきましたが、すでに1882年の規則書には「後課」がありました。1887年の規程では、「高等科」を設置、早くから、高等教育も視野に入れていました。1918年の東京女子大学設立に協力して高等科を廃すなど、紆余曲折を経て、戦後、短期大学を設置、これは、改組を経て大学となり、今日に至っています。
何がフェリスを「近代的女子教育」のパイオニアたらしめたのでしょう。
第一に、キリスト教に基づく、一夫一婦制の主張です。近世までの日本では、経済的に適うならば、一夫多妻は当然の慣行でした。これに敢然と立ち向かう女性を育てました。そこには、女性は男性と対等の、尊重されるべき存在であり、女性の性は、男性に使われるものではなく、女性自らが大切にすべきものだという主張がありました。これは、ひいては自我と意志を持つ女性の輩出につながりました。
第二に、今のフェリスの標語"For Others"につながる心のあり方の提示です。近世の日本でも、他者への気遣いはありました。しかし、それは、「恩」とか「義理」といった、自分に直接関わりのある人間関係の範囲内でのいわば、"give and take"でした。ところが、フェリスで宣教師たちが身を以て教えたのは、そういった直接的人間関係の外に関心を向ける心のあり方、会ったことも、名前さえも知らない人に関心を向ける想像力でした。
第三に、新しい技能の伝授です。英語、西洋音楽、世界地理・歴史といった知識、翻訳に必要だった口語で自由に日本語を書く能力、編物・洋裁、そして、飲酒や性的遊戯を伴わない、イノセントな娯楽を提供する能力などがその内容でした。
最初の二つは古びていません。技能の一部は、すでに当たり前のものになりました。伝えるべき技能をアップデートしながら、自分を大切にし、自分の意志と意見を持ち、また、他者への豊かな想像力を持つ、周囲に明るさと希望をもたらす女性をこれからも育てて参ります。
【学長プロフィール】
| 専門分野 |
アメリカ女性史・ジェンダー史 / 日米関係史 |
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| 主な著書 |
『明治の「新しい女」』勁草書房、2023年 |
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『帝国の福音』東京大学出版会、2019年(中原伸之賞受賞) |
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Christianity and the Modern Woman in East Asia 共著, Brill, 2018年 |
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『アメリカ・ジェンダー史研究入門』共編著、青木書店、2010年 |
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Competing Kingdoms: Women, Mission, Nation, and the AmericanProtestant Empire, 1812-1960 共著, Duke Univ. Press, 2010年 |
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『アメリカ婦人宣教師』東京大学出版会、1992年(女性史青山なお賞、キリスト教史学会学術奨励賞受賞) |
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| 学歴 |
1980年 3月 国際基督教大学 教養学部 卒業(教養学士) |
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| 最終取得学位 | 1991年 3月 国際基督教大学大学院 比較文化研究科 博士後期課程修了(学術博士) | |