About Ferris フェリスについて

学長挨拶

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フェリス女学院は1870年にメアリ・E・キダーがクララ・ヘボン(ヘボンの妻)の生徒を引き継いで始まりました。日本で最も古い「近代的女子教育機関」です。以来、主に中等教育機関として発展してきましたが、すでに1882年の規則書には「後課」がありました。1887年の規程では、「高等科」を設置、早くから、高等教育も視野に入れていました。1918年の東京女子大学設立に協力して高等科を廃すなど、紆余曲折を経て、戦後、短期大学を設置、これは、改組を経て大学となり、今日に至っています。

何がフェリスを「近代的女子教育」のパイオニアたらしめたのでしょう。

第一に、キリスト教に基づく、一夫一婦制の主張です。近世までの日本では、経済的に適うならば、一夫多妻は当然の慣行でした。これに敢然と立ち向かう女性を育てました。そこには、女性は男性と対等の、尊重されるべき存在であり、女性の性は、男性に使われるものではなく、女性自らが大切にすべきものだという主張がありました。これは、ひいては自我と意志を持つ女性の輩出につながりました。

第二に、今のフェリスの標語"For Others"につながる心のあり方の提示です。近世の日本でも、他者への気遣いはありました。しかし、それは、「恩」とか「義理」といった、自分に直接関わりのある人間関係の範囲内でのいわば、"give and take"でした。ところが、フェリスで宣教師たちが身を以て教えたのは、そういった直接的人間関係の外に関心を向ける心のあり方、会ったことも、名前さえも知らない人に関心を向ける想像力でした。

第三に、新しい技能の伝授です。英語、西洋音楽、世界地理・歴史といった知識、翻訳に必要だった口語で自由に日本語を書く能力、編物・洋裁、そして、飲酒や性的遊戯を伴わない、イノセントな娯楽を提供する能力などがその内容でした。

最初の二つは古びていません。技能の一部は、すでに当たり前のものになりました。伝えるべき技能をアップデートしながら、自分を大切にし、自分の意志と意見を持ち、また、他者への豊かな想像力を持つ、周囲に明るさと楽しさをもたらす女性をこれからも育てて参ります。

学長

学長小檜山 ルイ

【学長プロフィール】

専門分野

アメリカ女性史・ジェンダー史 / 日米関係史

主な著書

『明治の「新しい女」』勁草書房、2023年 

 『帝国の福音』東京大学出版会、2019年(中原伸之賞受賞) 

 Christianity and the Modern Woman in East Asia 共著, Brill, 2018年

 『アメリカ・ジェンダー史研究入門』共編著、青木書店、2010年 

Competing Kingdoms: Women, Mission, Nation, and the AmericanProtestant Empire, 1812-1960 共著, Duke Univ. Press, 2010年

『アメリカ婦人宣教師』東京大学出版会、1992年(女性史青山なお賞、キリスト教史学会学術奨励賞受賞)

学歴

1980年 3月        国際基督教大学       教養学部 卒業(教養学士)
1982年 6        ミネソタ大学大学院        修士課程アメリカ研究プログラム修了(M.A.)

最終取得学位 1991年 3月        国際基督教大学大学院    比較文化研究科 博士後期課程修了(学術博士)