
Ferris Alumni Gallery#16
声なき声を届ける ジャーナリストとしての使命と挑戦
構 二葵(かまい ふき)
ジャーナリスト
国際交流学部 国際交流学科 2015年卒業
Category
国際社会学科/専門職
2025/01/24
卒業後のキャリアについて教えてください
卒業後はHBC北海道放送で記者として勤務し、事件事故や災害取材のほか、障害がある人たちや留学生・技能実習生などの取材を重ねてきました。その後、ジャーナリズムを体系的に学び直したいと考え、2021年に退職して大学院に進学。同時にフリーランスのジャーナリストとして国内外で活動する一方、2024年春から市民発信メディア「8bitNews」の一員としても取材を続け、報道の新しい可能性を探求しています。

現在関心のあるテーマはなんですか
戦争や紛争、その影響を受ける人々の生活や人権問題をテーマに取材を続けています。具体的には、日本国内で難民申請をしている方々や在留資格を失った外国人(仮放免者)の現状を長期間にわたり追いかけています。その中で、「なぜ彼らは祖国を追われることになったのか」という疑問が自然と湧き上がり、戦争や紛争の背景に対する関心が深まりました。
過去の取材例としては、日本によるアジア太平洋戦争中の加害の記憶を追う活動です。シンガポールやフィリピン・マニラを訪れ、当時の日本軍の行為に関する証言を集め、生存者や遺族の声に耳を傾けました。
さらに、現在進行中の戦争については、パレスチナのヨルダン川西岸地区を訪れ、イスラエルの占領下で暮らすパレスチナの人々の日常を取材しました。特に心に残っているのは、同世代の女性が「残念ながらイスラエル兵からの暴力は日常です。これが軍による占領です。」と物悲しげに微笑んだ場面です。その一方で、彼女は困難な状況の中で「取材に来てくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えてくれました。私が思う以上に、遠く離れた日本からの取材は、「希望」なのだと実感し、惨状を伝えることはジャーナリストとしての使命であると、改めて認識しました。彼女たちが託してくれた言葉を背負い、この状況を発信し続けなければならないという責任を強く意識するようになりました。

仕事で大切にしていることはなんですか
「声なき声を届ける」ことを大切にしています。特に、報道の世界では注目されにくい人々の声に耳を傾け、彼・彼女たちを取り巻く問題について、一緒に考える機会を生み出すことが私の使命だと思っています。取材では「自分の目で見て耳で聞く」直接的な体験を何より大切にしています。現在は、不条理に対し批判の声をあげることで生命の危険がある市民やジャーナリストたちと連帯する方法を模索しています。また、重要性を実感しているジャーナリズム教育にも携わることで、ボーダーを超えて闘う仲間を増やす道を探っているところです。

大学時代に印象に残っている経験を教えてください
ボランティアセンター(以下「ボラセン」)での活動です。学生スタッフとなり寿町のドヤを改装したホステルなどでボランティア活動に参加しました。ボラセンでは入管問題の勉強会や多文化共生フォーラムに参加の機会を作っていただきました。
他にも、ある情報の先生に英語が使えるようになりたいという話をしていたら、ニューヨークで開催される「女性に対する暴力」をテーマにしたセミナーを紹介され、英語での選考を突破し主催者の招待(自己負担なし)で参加できました。
フェリスの先生からは卒業後もご支援をいただいています。例えば、移民労働者についてより深掘りすべく調べていた際に、英語インテンシブ・コースでお世話になった先生にご相談したところ、在学中は接点のなかった、多文化共生・国際社会学をご専門としている先生をご紹介いただき、さらにその先生を通じて、アジア太平洋戦争中の加害の取材に繋がるフィリピン大学の先生をご紹介いただくことができました。

高校生へのメッセージをお願いします
正直なところフェリスは第1志望の大学ではなかったのですが、その分「今できることを最大限に活用しよう」と考え、授業のときは一番前に座る、先生に質問する、など前向きに取り組むことで、多くの貴重な経験を得ることができました。
在学中は挫折を味わうこともあり、進む道が思い描いていたものと違うと感じることもありました。それでも、どうすればやりたいことを実現できるかを考え行動した結果、レジリエンス(困難を乗り越える力)が身についたと思います。
大人になると、専門家である先生に直接質問できる機会は少なくなります。本やネットにはない+αの答えを得られることがあり、その対面でのやりとりが貴重な「経験」になったと感じています。大学は挑戦したい人を後押ししてくれる環境が整っています。積極的に行動することで、きっと多くの学びや気づきを得られるはずです。
※所属・仕事内容は取材当時のものです。
My Career
- 01学生時代
ボランティアセンターの学生スタッフとして活動。大学で先生に勧められ、ニューヨークで女性に対する暴力をテーマにしたセミナーにも参加。
- 021年目
HBC北海道放送で記者として事件事故や災害取材のほか、障害がある人たちや留学生・技能実習生などの取材を重ねる。
- 037年目
早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコース修士課程に進学。
- 04今後の目標
民主主義を求め声をあげるジャーナリストらとの連帯やジャーナリズム教育に携わり、ボーダーを超えて闘う仲間を増やす。
現在に生きる
フェリスの学び
- 学生時代の経験
- 英語インテンシブ・コースのディスカッションについていくために、使えそうな英語の言い回しをメモして復唱しながら通学
- 身についた力
- 言葉が出てこない時も自然に英語で合間を埋めることができるようになり、英会話の心理的ハードルが下がった。
- 仕事で活きた場面
- 躊躇せず海外に一人で取材に行けるのは大学時代の学びのおかげです。とはいえ英語でのアウトプット力はまだまだ低いので日々勉強…!
※所属・仕事内容は取材当時のものです。
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