国際系学部とはどんな学部か
国際系学部では、世界で起きている出来事を、政治・経済・社会・環境といった観点から読み解きます。ニュースで見聞きする紛争や貧困、環境問題、企業活動などを題材に、複雑な社会の仕組みを理解し、「なぜ起きているのか」「どうすれば解決できるのか」を調査したり提案する方法を学んで身に着けます。企業がどのように海外で商品やサービスを展開しているのか、観光や開発が地域にどのような変化をもたらすのか、といった具体的な事例をもとに学びを進めます。
外国語学部が特定の言語と文化の習得を中心に据えるのに対して、国際学部は言語をツールとして使い、その言語圏の政治・経済・社会構造まで踏み込んでいきます。経済学部が市場と数字の論理を、法学部が制度の仕組みを体系的に扱うとすれば、国際学部はそれらすべてを国際的な文脈のなかで交差させて考えます。
国際学部らしさは、「答えが一つではない問い」と向き合い続けることにあります。たとえば、ある国で起きている社会の変化についても、経済成長との関係、各国の利害、企業の動きなど、さまざまな角度から捉えます。そして、「なぜこの変化が起きているのか」「社会全体にどのような影響があるのか」を考えることで、学生は視野を国内から世界へと広げていきます。
卒業後の進路も幅広く、以下のような分野で活躍が期待されます。
- 民間企業(航空、国際物流、観光、宿泊、製造業、商社、金融など)
- 国際ビジネス・海外事業
- 公務員・国際機関・NGO
- メディア・教育分野
「グローバルに働く力」だけでなく、「社会課題を構造的に捉える力」が評価される点が特徴です。
<何を学ぶのか:5つの主要領域>
国際政治・国際関係論
戦争や紛争がなぜ起こり続けるのか、国連・WTO・IMFなどの国際機関がどのような役割を担っているのかを、理論と具体的な歴史・現代の事例の両方から学ぶ分野です。ニュースの背後にある国家間の思惑や国際秩序の仕組みを読み解く力が身につきます。
今や、円安、物価高、エネルギー不足、政情不安といった世界の動きは、国内の民間企業、私たちの日常の価格や暮らしに直結しています。
学生は、国家間の関係や外交、安全保障の仕組みを学びます。授業では、現在の国際問題を取り上げ、その背景にある歴史や利害関係を整理します。さらに、日本の外交を題材に、「なぜその判断がとられたのか」を複数の視点から説明できるようにします。
例えば「地政学」という言葉は、30年ほど前までは学問分野や一般紙でもほとんど見かけませんでした。現在ではニュースや一般書でも頻繁に使われるようになっています。なぜこのような変化が起きたのかも、国際政治や経済の動きを学ぶことで理解できるようになります。
政治思想の学習では、「自由」「平等」といった言葉がどのような文脈で使われてきたのかを理解し、異なる価値観を持つ人びとが共に生きる社会について考えます。
国際経済・開発経済学
グローバル化によって企業活動や働き方がどのように変わったのか、私たちのキャリアにも関わるトピックを学びます。海外での生産や人の移動が進む中で、どのような仕事が生まれ、どのような課題が出ているのかを具体例から理解します。企業の戦略やビジネスモデルも取り上げ、「どのように価値を生み出しているのか」を考えます。
平和構築・紛争解決論
国や地域を越えた協力のあり方を考えます。授業では、国際社会がどのように連携し、対立の解消や安定した社会の実現に取り組んでいるのかを学びます。国際協力の具体的な取り組みを知ることで、自分が社会にどう関わるかを考える視点を養います。
異文化コミュニケーション・多文化共生論
異なる文化的背景を持つ人々の価値観やコミュニケーションスタイルの違いを理解し、誤解や対立をどのように乗り越えるかを考える分野です。グローバル化が進むなか、多文化社会における相互理解・協力・共生は国内外で重要な課題となっており、この領域の学びは観光・教育・企業のグローバル部門・自治体の国際交流など幅広い進路で生かされます。
環境問題・SDGs・持続可能な開発
環境問題を社会の仕組みと結びつけて考えます。環境経済学では、環境と経済活動の関係を整理し、「なぜ問題が起きるのか」「どのような政策が有効か」など持続可能な社会に向けた政策や取組みを検討します。経済成長と環境保全の関係についても、具体的な事例をもとに考えます。
「ここまで挙げた5つの領域は、それぞれ独立した科目というより互いに重なり合うテーマです。以下からは、フェリス女学院大学の国際社会学科の例を参考に見ていきましょう。
フェリス女学院大学の国際社会学科:3つの専攻
フェリス女学院大学グローバル教養学部の国際社会学科を例に紹介します。
この学科は3つの専攻で構成されています。
国際関係専攻では、世界の諸地域の歴史を理解し、グローバルな課題を解決する方法論を学びます。
地球社会・環境専攻では、経済発展と社会開発を環境保全・持続可能性の視点から分析し、海外現地実習で環境保全の現場にも訪れ、環境の変化が人々の暮らしや地域社会にどのような影響を与えているのかを自分の目で確かめます。
国際ビジネス・観光専攻では、国際経済・金融政策・経営・マーケティング・ツーリズムを学び、観光を通じた地域創生の現場実習もあります。実際に地域の観光資源に触れ、自治体や事業者と連携しながら、持続可能な観光のあり方を考える授業もあります。
以下では、それぞれの専攻についてもう少し詳しく見ていきましょう。
国際関係専攻
国家間のつながりや世界規模の歴史の流れを学びます。
国家間の関係、特定の地域、政治や外交を扱うことの多い世界史の視点だけでなく、国境を超えた人・モノ・情報の移動と相互の影響(グローバル・ヒストリー)の視点から、現代の国際問題を体系的に学びます。ネットなどのニュースでわかったつもりにしたり、曖昧なままにせず、客観的なデータや多角的な視点から社会を分析する力を養います。例えば国際政治が私たちとどのように結びついているのかを理解し、いま起きている課題について説明できるようになります。さらに、その具体的な解決策を論理的に導き出す力を身につけます。
地球社会・環境専攻
私たちが普段買っている服や食品、日々の暮らしが、世界の環境破壊や労働問題とどう繋がっているのか、その構造から学びます。企業や行政の環境対策の現場を訪ねるフィールドワークでは、課題解決のための行動力を養います。
観光地をただ消費するのではなく、地域の環境保全と経済活動を両立させる「持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)」の仕組みをビジネスの視点から学び、社会のルールに働きかけていくアプローチ法を身につけます。
国際ビジネス・観光専攻
世界を動かす経済の仕組みや、観光産業による地域活性化を学びます。データ分析の手法を使い、根拠のあるビジネスプランの企画にも挑戦できます。
企業や観光の現場が抱える課題に対し、仲間とともに解決策を考え、提案・協力するプロセスを通じて、社会人として必要な発想力や課題解決のステップを身につけます。
「国際問題を幅広く学びたい」「環境と開発の関係を深く掘り下げたい」「観光ビジネスの市場や将来性を知りたい」など、自分の関心に合わせた専攻を選べます。
国際系学部と語学教育
どの専攻でも、語学力が土台にあると文献やデータへのアクセスも、現地でのコミュニケーションも容易になります。例えば、中国でのキャラクタービジネス、韓国のクリエイティブ産業におけるグローバル展開を探究テーマにするなら、信頼できる一次情報を得たり、その適否を判断できる方が有利です。AIに代替えされない人材になるためにも、重要なスキルです。
フェリス女学院大学には、1997年度から英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語・韓国語の6言語でインテンシブ・コースがあります。90分授業×週最大6コマで、集中的に学べる環境です。
国際系学部で取得できる資格
国際系学部は「語学力を育てる場所」というイメージが強いですが、取得できる資格は語学系にとどまりません。
フェリス女学院大学の国際社会学科では中学校教諭(社会)一種免許状と高等学校教諭(地理歴史・公民)一種免許状の取得が可能です。国際政治・地理・歴史・公民という教科の専門知識と、教職課程で学ぶ教育実践力を組み合わせて、学校教育の現場を目指すことができます。
また、フェリス女学院大学のカリキュラムは、登録日本語教員の基礎試験および実践研修免除資格にも対応しています。
外国人に日本語を教えるプロとして国内外で活躍したい人にとって、国際学部のカリキュラムはその準備としても役に立ちます。
2026.03.03
国家資格「登録日本語教員」取得のための応用試験に合格した、日本語教員養成講座の受講生たちの声を掲載しました
https://www.ferris.ac.jp/news/2026/03/2248.html
卒業後のキャリアパス
国際学部卒業後のキャリアは「英語が使える仕事」に限りません。在学中に培う複眼的な思考力・語学力・異文化適応力は、グローバル企業や国際機関だけでなく、観光・地域創生、公務員・外交など、国際社会に関わるあらゆる分野で評価される力です。
フェリス女学院大学国際社会学科の場合、商社・金融・コンサル・マーケティングといった企業への就職に加え、国連やJICAなどの国際機関、観光・地域創生の現場、公務員・外交分野まで進路は幅広く、こうした多様な進路を支えているのが在学中に積み重ねる国際関係の知識・語学力・実習経験です。2026年度の就職決定率は99.4%。公務員・教員・国際機関・商社・金融・観光業など多岐にわたる進路実績があります。
「知識」よりも「問い続ける姿勢」を育てる
国際系学部で何より大切なのは、単純な「正解探し」にとどまらず、複雑な世界の現実を受け入れながら、自分なりの問いを立て続ける力を磨くことです。
貧困の解消、紛争の終結、格差の是正、開発と経済の両立、そして雇用の確保――こうした課題に、万人にとっての「完全な正解」は存在しません。
フェリス女学院大学の、国際社会学科では、多様な社会や経済、価値観、環境についての理解を深めつつ、他者とともに生きる視点を養い、持続可能な平和のかたちを自らの頭で考え続ける姿勢を育てることを大切にしています。
さまざまな立場・文化・価値観に触れたうえで、自分自身の倫理観と判断力に基づいて行動できる人になること――その力は、どのような職業・業界に進んだとしても、長い人生を支える土台になります。
「英語が好き」「旅行が好き」という入り口から一歩先へ進んで、「世界の複雑な現実に向き合いながら、自分の答えを探したい」と願う人に、国際学部という選択肢をぜひ視野に入れてほしいと考えています。
オープンキャンパスで相談してみませんか?
大学選びの段階で、国際学部の学びや取得できる資格について確認したいことがあれば、オープンキャンパスの個別相談が役立ちます。フェリス女学院大学では、各回のオープンキャンパスで「留学」「資格」「語学」「キャリア」について教職員への個別相談ができます。「自分の関心はどの専攻に合うか」「取得できる資格や免許は何か」といった具体的な疑問を、その場で確かめてみてください。
