音楽は、“みんなで”楽しめる インクルーシブコンサートで、子どもの世界を広げたい

文化表現学科 音楽・身体表現専攻

M.Sさん

「インクルーシブ」との出会い

卒業研究で子ども向けのインクルーシブコンサートを持続的に開催することを探求しています。もともと子どもに関わる仕事がしたいという思いが強く、自身もプレイヤーとして舞台に上がる中で、「子どもと音楽」をつなぐことを考え続けてきました。

きっかけは大学1年生のとき、子どもとミュージカルを作るワークショップに参加し、そこで初めてインクルーシブという考え方に出会いました。否定的な言葉を使わず、「こうしないで」ではなく「こうしてみようか」と提案しながら、その子ができる表現を一緒に探していく場づくりに強く心を動かされたのを覚えています。

ゼミでは子ども向けコンサートの企画に関わり、「何を届けたいのか」「メッセージを届けるためにどんな曲順・曲目にするのか」を考えながらセットリストを組み立ててきました。その経験から、「こうしたコンサートをインクルーシブな場で実現したい!」という思いが、卒業研究のテーマへとつながっていきました。

「みんな一緒に楽しむ」コンサートを作り出すために

インクルーシブコンサートをつくるうえで難しいと感じるのは、多様な特性を持つすべての子どもたちが、同じ空間を共有できる場について考えることです。
視覚・聴覚・触覚など複数の感覚チャンネルを通じた体験設計や、動きたい子も静かに過ごしたい子も受け入れられる柔軟な環境やそれを実現できる体制づくりが課題になります。

また、子どもたちの発達段階や特性によって「届けられる音楽」も変わってきます。多様な感覚特性や身体特性を持つ子どもたちそれぞれにとって、没頭しやすい音や環境を考えなければ、本当の意味で「一緒に楽しめる」コンサートにはなりません。

そこで、インクルーシブなコンサートを実際に行っている団体の方や、子ども向けコンサートを継続している企業の社長さんへのインタビュー、さらにコンサートに参加した子どもの保護者の方へのアンケート調査を行っています。お話を伺う中で、演奏技術だけでなく、匂いや映像、照明の明るさを工夫して会場全体の一体感を生み出していることや、子ども同士が「それぞれの普通」を持ち寄って一緒に音楽を聴くことに大きな価値があると気づきました。

私は、インクルーシブコンサートを「子どもと一緒につくる」場にしたいと考えています。一流の技術だけを追求するのではなく、子どもの興味を引き出す声のトーンや言葉がけ、会場の雰囲気づくり、子ども同士のコミュニケーションなどを大切にしながら、続けていける形を探っていきたいです。音楽を通して、「ちがい」があるからこそ生まれる新しい楽しみ方を、たくさんの子どもたちに届けられることが、これからの目標です。 

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