皆さんには「推し」がありますか？　俳優、タレント、アイドルや歌手、スポーツ選手、作家、マンガ家、アーチスト、ユーチューバー･･･。贔屓（ひいき）のお店といった「推し」もあるかもしれません。人は誰にも、憧れの対象、目指す目標、生き方やファッションの指針、オピニオンリーダー、好きなモノや食べ物などがあって、それが私たちの「楽しみ」や「生き甲斐」にもなっています。　中でも「アイドル」は、まだマイナーな存在であれテレビ番組に出演するようなメジャーな存在であれ、それほど"雲上人"ではないという「等身大」なところが「私もなれるかもしれない」という"夢"を抱かせてくれます。しかし、一見華やかに見えるその世界はまた、虚飾に彩られた世界でもあるようです。

　マンガ(コミック単行本）『推しの子』と、アニメ化されたオープニング曲「アイドル」は、「推し」の心理、アイドルの活動が描かれた作品です。同時に、アイドルのウラ事情、メディアの思惑、ネットの誹謗中傷、ストーカーといったシビアな問題も描かれています（書籍資料の最後はややショッキングな内容です）。主人公は、マンガの中でも歌詞の中でもアイドルは偶像でありその輝きは嘘に嘘を重ねたもので、この嘘こそがファンに対する愛だと言います。それはどういう意味でしょう？

　アイドルは、マスコミ、流行、ファン心理、オタク、SNS、音楽やダンス、ジェンダー、マーケティング戦略、そのトークなど、コミュニケーション学科らしい研究対象に満ちています。芸能界におけるアイドルを、「メディア」「現実」「嘘」の3つをキーワードに、以下の2つの資料を読んで、見て、聴いて、考えておいてください。