学部長挨拶
文学部
フェリス女学院大学の文学部は、英語英米文学科、日本語日本文学科、コミュニケーション学科の三学科からなります。それぞれの専門性を保ちつつ、言語、文化、文学、歴史、社会、心理、ジェンダー、アート、メディア、サブカルチャーなどの領域的つながりをもったカリキュラムを展開しています。
文学部の学びは実践的です。初年次にはCLAが提供する「アカデミック・ライティング入門」と「情報リテラシー基礎」(2024年度新設)を学びます。これに並行して卒業論文/制作まで段階的に連なる学部のゼミを履修します。問いを立て、調べ、分析し、報告し、議論することを繰り返し、学びの知識とスキルを深化させます。この過程で身につける能動的なスキルは、社会人としてのリテラシーに直結するもので、卒業後の仕事や生活において大いに役立つ武器となります。
文学部の学びは多様性に開かれています。言語や文化、そして人の心を深く学ぶことは、その対象が置かれた場へ目を向けるきっかけとなります。近頃、多くの人に愛されるアメリカのアミューズメントパークで、あるアトラクションのテーマ変更が発表されました。少し踏み込んでその理由を探ると、背景にアメリカの構造的な人種主義があることに気づきます。翻って私たちが暮らす社会ではどうなのか。研究対象が鏡となって、自己と他者の関係性を映し出すのです。
そして、文学部の学びは愉しい。実践的で多様性に開かれた学びは、はじめは素朴な興味であったとしても、その関心を学問的問いに変えて、正解のない答えを論理的に導き出すプロセスです。最新の人工知能(AI)は立派な答えをくれますが、それに個性はありません。自由でユニークな発想からはじめる学びは、知的興奮にあふれています。少人数教育を通して、その過程を正しく丁寧に導くことが私たち文学部の仕事です。
文学部長梅﨑 透
国際交流学部
国際交流学部は、世界がグローバル化の時代を迎えたと言われはじめた1990年代に、いち早く最先端の動向をつかみとってスタートしました。今でこそグローバル化は当たり前の標語となっていますが、私たちは早くから、世界の動きを、政治や経済の知識としてだけでなく、そこに生きている人びとの息遣いから理解できるような、総合的な国際化教育をめざしてきました。
グローバル化とは、ただ物やお金が国境を越えて行きかうことではありません。そこでは、国民国家を基盤に作りあげられた近代世界が、もっと柔軟で、人権やジェンダー平等、そして民主主義を大切にした普遍的な世界秩序に成熟していくことも、求められています。人と人の間で起こるのは理解や共感だけではありません。そこには誤解や対立も生じます。こうした世界の複雑なダイナミズムに対応できるタフで豊かな感受性をもった女性こそ、この学部が育てあげようとする人間像です。
そのために私たちは、一人一人のニーズに合わせた学びが可能となるように工夫しています。学生の皆さんは「SDGs・ライフデザイン」「グローバル社会」「国際地域文化」という3つの現代的なプログラムを、自分の関心にそくして選択します。それとともに、国際人としての実践力を身につけるために、6つの外国語から選択して学び、現地実習や留学へとつなげることができます。そのうえで、多様な学問分野をカバーする20以上のゼミから一つを選んで、自分だけのオリジナルな専門性を育むことができるのです。
国際交流学部は皆さんをタフな国際人へと飛躍させる強力なスプリングボードです。広い世界に飛び出して行こうとする皆さんの挑戦を、私たちは心待ちにしています。
国際交流学部長矢野 久美子
音楽学部
現代社会において、音楽は、あらゆる場所に溢れています。ふと電車に乗りますと、イヤホンを付けて音楽を聴いている人を多くみかけます。カフェやレストランでは、食事をゆっくりと楽しむ背後で、その場の雰囲気を醸し出す音楽が流れています。コンビニエンスストアでは商品の購買意欲をかきたてるために音楽が使われています。音楽ホールやライブハウスでは、毎日のようにコンサートやライブが行われています。
歌を歌ったり、楽器を奏でたり、曲を作ったりする音楽の行為は、世界中、あまねく存在するといわれています。それだけ人間は音楽を必要としているということでしょう。また音楽は極めて人間的な行為ともいわれています。自然界には水のせせらぎの音や、小鳥たちの鳴き声もあります。しかしそういった音の中から「美しい」あるいは「気になる」ものを選び取り表現する行為は、他の動物たちには見られないのではないでしょうか。
大学で音楽を学ぶというのは、人間的で社会的な存在である音楽のあり方を知ることです。フェリスの音楽学部では、実技レッスンをはじめとして、講義やワークショップから多くの知見が得られます。学べるジャンルもヨーロッパのクラシック音楽だけでなく、ポピュラー音楽、世界の諸民族など幅広く、コンピュータやAIを駆使した音楽作り、映像作品の制作も学べます。また、本学の基礎となるキリスト教音楽(オルガンを含む)、音楽情報の発信のための音楽ジャーナリズムや音楽ビジネスなど、音楽を学んだ後のキャリアの可能性にも広がりを持たせるカリキュラムを用意しています。
もちろん将来を音楽に限定する必要はありません。音楽学部に所属しながら他学部の多彩な授業も履修が可能です。いま、世界中でアート的な感覚が求められています。音楽学部での学びを活かし、社会に出て、新たな時代を切り拓く知性を存分に発揮することができるでしょう。そういったことを、私たちも積極的に応援します。
大学の貴重な4年間を、音楽学部で、ともに学びましょう。
音楽学部長谷口 昭弘