学部長挨拶

文学部
文学部で学ぶのは、いわゆる「文学」ばかりではなく、広く人文科学全般です。人文科学とはhumanitiesの訳語であり、人間(human)について学ぶ学問領域を指します。humanitiesとは、簡単に言ってしまえば「人とは何か」を学ぶ分野です。フェリス女学院大学文学部では、そのために英語英米文学科/日本語日本文学科/コミュニケーション学科の三つの学科を置いています。三つの学科に分かれているのは、「人とは何か」を学ぶためのアプローチの方法が異なることによります。
大学で学ぶことの意義は、この社会や自分の周囲や、自分自身に発生している問題を発見し解決するための方法を知ることができるという点です。「人とは何か」を学ぶことをとおして、私たちは、多くの問題を解決するための道筋を知ることができます。また、「人とは何か」を知らなければ、私たちは、この社会が直面している問題も、自分が直面している問題も、解決に導くことは難しいといえます。
もちろん、問題を発見し解決するのはとても難しい技術であり、その内容によっては莫大な背景知識を必要とします。そのため、入り口を狭めた「三つのアプローチ」に沿って学んでいくのが、フェリス女学院大学文学部です。そこでは、この社会に存在する問題の発見の方法や、過去の事例を見て解決方法を立案する方法、さらには解決のために必要となる技術について、基礎から応用までを実践的に学んでいきます。それは茨の道ですが、この社会において有意義な知識と技術を身に着けることができる道でもあります。
文学部長髙田 明典
国際交流学部
フェリス女学院大学では、他大学に先駆けて国際社会とグローバル化を考える新しい教育に取り組んできました。グローバル化という言葉がまだ珍しかった1988年に国際文化学科を、そして1997年には国際交流学部を設置し、グローバルな視点から新しい社会の課題解決を問い続けてきました。
その特徴の一つは幅広い視野と学びにあります。現代世界の課題解決には狭い学問領域だけでは対応が困難な場合も少なくありません。複雑化した今日の課題を考察し解決するために、人文科学や社会科学といった旧来の枠組みを越えて、また環境学や統計学、観光学といった新しい学びも積極的かつ柔軟に取り入れていきました。
また英語圏以外の地域や言語も大切にしてきました。ドイツ語・フランス語だけでなく、中国語・韓国語・スペイン語を重点的に学ぶコースも設置されています。言語に加え歴史から現代におよぶ講義科目も豊富です。欧米のみならずアジアや中南米、アフリカといった世界の諸地域を学ぶ講義やゼミに参加し、留学する学生も少なくありません。今日では世界の様々な地域で卒業生が活躍しています。
さらにエシカルで多様性を尊重した学びも特に力を入れてきました。紛争解決、貧困、人権、環境、ジェンダー等、多様な立場から考え、他者を尊重する意識を育んできました。
もちろん経済やビジネス等、将来のキャリアを意識した学びも人気です。こうした学風からか、学生や卒業生も既存の枠にはまらず個性的で、自由、活発。在学中から起業を意識したり、新しい成長分野に飛び込む学生・卒業生も少なくありません。
国際交流学部の学びは、2025年度に開設されるグローバル教養学部に引き継がれます。2025年度からは新学部の魅力も取り入れ、改めて国際交流学部の学びを深める新たな飛躍の時期となるでしょう。
国際交流学部長上原 良子
音楽学部
現代社会において、音楽は、あらゆる場所に溢れています。ふと電車に乗りますと、イヤホンを付けて音楽を聴いている人を多くみかけます。カフェやレストランでは、食事をゆっくりと楽しむ背後で、その場の雰囲気を醸し出す音楽が流れています。コンビニエンスストアでは商品の購買意欲をかきたてるために音楽が使われています。音楽ホールやライブハウスでは、毎日のようにコンサートやライブが行われています。
歌を歌ったり、楽器を奏でたり、曲を作ったりする音楽の行為は、世界中、あまねく存在するといわれています。それだけ人間は音楽を必要としているということでしょう。また音楽は極めて人間的な行為ともいわれています。自然界には水のせせらぎの音や、小鳥たちの鳴き声もあります。しかしそういった音の中から「美しい」あるいは「気になる」ものを選び取り表現する行為は、他の動物たちには見られないのではないでしょうか。
大学で音楽を学ぶというのは、人間的で社会的な存在である音楽のあり方を知ることです。フェリスの音楽学部では、実技レッスンをはじめとして、講義やワークショップから多くの知見が得られます。学べるジャンルもヨーロッパのクラシック音楽だけでなく、ポピュラー音楽、世界の諸民族など幅広く、コンピュータやAIを駆使した音楽作り、映像作品の制作も学べます。また、本学の基礎となるキリスト教音楽(オルガンを含む)、音楽情報の発信のための音楽ジャーナリズムや音楽ビジネスなど、音楽を学んだ後のキャリアの可能性にも広がりを持たせるカリキュラムを用意しています。
もちろん将来を音楽に限定する必要はありません。音楽学部に所属しながら他学部の多彩な授業も履修が可能です。いま、世界中でアート的な感覚が求められています。音楽学部での学びを活かし、社会に出て、新たな時代を切り拓く知性を存分に発揮することができるでしょう。そういったことを、私たちも積極的に応援します。
大学の貴重な4年間を、音楽学部で、ともに学びましょう。
音楽学部長谷口 昭弘