Ferris Alumni Gallery#14

言葉の力で日韓を繋ぐ 翻訳・教育・創作で結ぶつながり

山極 尊子

童話・絵本作家/韓国語通訳・翻訳/エッセイスト
文学部英文学科 2004年卒業

Category

文化表現学科/その他

2024/12/2

大学時代の経験を教えてください

私は英文学科に所属していましたが、第二外国語として韓国語を選択しました。当時は韓国語を学ぶ学生は非常に少なく、授業はとても少人数。そのおかげで先生方との距離が近く、深く学べたことは大きな財産です。大学3年次には梨花女子大学へ交換留学を経験。留学中は授業に出席するだけでなく、「ガブリエルの家」という重度障がい者施設でのボランティア活動にも携わりました。この活動は、私の人生において重要なご縁となり、20年以上経った今でも交流があります。卒業論文では「韓国人と日本人の高齢者への呼びかけ方の違い」をテーマに研究し、社会言語学的な視点から文化比較を行いました。大学時代に韓国語を学んだことが人生の大きな転機となりました。

重度障害者生活施設である「ガブリエルの家」とは、フェリス時代に交換留学をして以来、20年以上のお付き合い

卒業後のキャリアについて教えてください

韓国語力を活かしてKB國民銀行に就職し、5年間勤務しました。窓口業務で出会ったお客様から、「日韓の架け橋になるような仕事をしてほしい」とアドバイスを受けたことがきっかけで、国費留学生としてソウル大学大学院に進学。そこでは韓国語教育の方法について専門的に学びました。その後、北朝鮮問題にも関心を持ち、北韓大学院大学で北朝鮮文化について研究しました。韓国滞在中は高校で日本語教師として教える経験や、サムスンで日本語や日本文化を教えるなど、多岐にわたるキャリアを積みました。

北韓大学院大学の卒業式で優秀論文賞を授与
サムスンにて、日韓語学育成に関する表彰を受けた際のトロフィー
韓国のネットメディアで連載を持っていたときの表紙画像「山極の南北を覗き見る」というコラム

現在のお仕事内容を教えてください

現在は日本国内で、さまざまな活動を行っています。ライターとして記事を執筆し、新人ライターの校正や指導を手掛けるほか、絵本作家としても活動しており、温かいメッセージを皆さまに届けるための作品制作に取り組んでいます。さらに翻訳・通訳業務も行いながら、日本と韓国の架け橋となる活動を続けています。これまでの仕事や経験を振り返ると多くのご縁が現在の活動に繋がっていることを実感します。大学時代の留学、ボランティア経験、韓国滞在中に築いた人との繋がりが、今の仕事の基盤となっています。当時は一つひとつの出来事が「点」にすぎませんでしたが、振り返るとそれらが繋がり「線」となり現在の私を形づくっていると思います。

韓国で出版された絵本がメディアに取り上げられる。左は『수염 없는 산타』(邦題:ひげのないサンタ)右は『할머니의 손』(邦題:おばあちゃんの手、刊行:2016年)。『할머니의 손』は、日本で第15回キッズエクスプレス21創作童話部門の大賞を受賞。また、国際的に活躍する絵本作家を輩出した、日本で権威のある児童文学賞を受賞。

高校生へのメッセージをお願いします

人生は、想定外の出来事が起こるものです。キャリアを順調に積み重ねていても、ある日仕事と家庭、どちらかを選択しなければならない場面が訪れることもあるかもしれません。それでも、どんな状況にも対応できるスキルや柔軟性を身につけ、自分らしく楽しむことが大切だと思います。
また人との出会いや繋がりを大切にしてください。これまでに私が経験してきたご縁は、キャリアや人生に大きな影響を与えました。多様な経験を積み、人との出会いを大切にしながら、自分の未来を切り拓く力をつけてほしいと思います。

※所属・仕事内容は取材当時のものです。

My Career

01学生時代

英文学科に所属しながら、第二外国語として韓国語を学ぶ。梨花女子大学への交換留学も経験。

026年目

KB國民銀行での窓口対応がきっかけとなり、ソウル大学大学院に進学。韓国語教育について学ぶ。

038年目

韓国の高校、サムスンなどで、日本語教師、韓日通訳・翻訳の仕事に従事。

0413年目

韓国で絵本作家としてデビュー。創作童話・絵本・デジタル絵本コンテストなどで多数受賞。

05今後の目標

子どもたちが健やかに成長し、自己肯定感を育むことができるような支援をすること。

現在に生きる
フェリスの学び

学生時代の経験
韓国語の学習や交換留学、ボランティア活動を通じて多文化理解と人との絆を深める
身についた力
柔軟な思考力、多様な価値観を受け入れる姿勢
仕事で活きた場面
ライターとして、双方の文化や背景を尊重しながら多くの読者が共感できる文章を書くとき

※所属・仕事内容は取材当時のものです。

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