女性の暮らしをよりよくできるよう、
法律には何ができるのだろうか。
山本「セクシュアル・ハラスメントやDV、性暴力などの被害において『性差』はあるのか、あるとしたらどのように現れるのかを研究しています。メインは理論研究ですが、DVや性暴力被害についての相談記録を読ませていただき、被害の分析もしています」
山本先生の現在の研究は、いくつかの大学や自治体などでセクシュアル・ハラスメントの相談を聞く仕事に携わったことが始まりです。ハラスメントを受けた方から被害の内容を聞いたときに、実際にどのような問題が起きているのか状況が把握できた経験がきっかけで、被害状態を理論化する使命感に燃えました。
山本「相談記録や被害の記録を読むと涙が出ます。あるとき、隣に座っている同僚から『こんなことで一緒に泣いてくれる人がいるんですね』と声をかけられました。彼女はDVのサバイバーでした。被害に遭われた方のことを思うと、怒りや悔しさがこみ上げてきます。それが私の研究の原動力です」