Interview #14

女性被害者の救済に必要なジェンダーを考慮した法的解決の方法を探る。

国際交流学部国際交流学科

山本千晶 准教授

被害者に寄り添う気持ち、 こみ上げる怒り、悔しさが 研究の熱意となる。

女性の暮らしをよりよくできるよう、
法律には何ができるのだろうか。

山本「セクシュアル・ハラスメントやDV、性暴力などの被害において『性差』はあるのか、あるとしたらどのように現れるのかを研究しています。メインは理論研究ですが、DVや性暴力被害についての相談記録を読ませていただき、被害の分析もしています」

山本先生の現在の研究は、いくつかの大学や自治体などでセクシュアル・ハラスメントの相談を聞く仕事に携わったことが始まりです。ハラスメントを受けた方から被害の内容を聞いたときに、実際にどのような問題が起きているのか状況が把握できた経験がきっかけで、被害状態を理論化する使命感に燃えました。

山本「相談記録や被害の記録を読むと涙が出ます。あるとき、隣に座っている同僚から『こんなことで一緒に泣いてくれる人がいるんですね』と声をかけられました。彼女はDVのサバイバーでした。被害に遭われた方のことを思うと、怒りや悔しさがこみ上げてきます。それが私の研究の原動力です」

「自分の研究に魅力なんてない」 そう語る山本先生が考える 研究のゴールとは。

女性だから起こり得る問題とは何か、
その解決法を法学の視点から探る。

山本「私の研究は、本当はなくなってしまった方が良いと思っています。被害がなくなって研究する必要がない状態が理想です」

日常の近しい関係の中で起きる暴力については、被害者・加害者の関係性などを総合して考えることになり、判断は容易ではありません。性別によって被害に差が出るのであれば、法律もジェンダーを考慮しなければならないと語る山本先生。女性の身体と生活のことを考え抜きながら、被害における「性差」を詳らかにしていきたいと意気込んでおられました。

山本「つい手に取ってしまった本、いつもよりなめらかに書けた文章、あふれでる感情。日常のふとした行動の中で、『あぁ、私ってこれが好きなんだな』と気づく。今の私にとってジェンダーと法の関わりが興味をそそるテーマでした。自分が何に興味があるか意外とわかっていないものです。学問をするというのは、自分の関心のありかを探ることでもあるのかもしれません」

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プロフィール

山本千晶 准教授

専門分野

ジェンダー法学

所属

国際交流学部 国際交流学科

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