Interview #08

ラテンアメリカ地域の人種・民族に焦点を当てて、社会と文化の変化を読む。

国際交流学部国際交流学科

遠藤 健太准教授

「わからない」ものに向き合い 多面的に考える姿勢が 研究には欠かせない。

音楽文化とその社会背景への関心が
研究のきっかけに。

様々な人種・民族・文化的背景を持つ人々が共存するラテンアメリカの国々。近年その多様性をポジティブなものと捉えて国内外にアピールしようという動きが盛んになっています。遠藤先生は、その「多文化主義」の潮流がラテンアメリカ諸国の政治や社会や文化にもたらす影響について研究されています。なかでも強い関心を持っているのが、各国の人種・民族グループの人々が自分たちの存在をアピールするために実践している社会運動です。

遠藤「人種・民族の問題にかかわる地域研究に興味を持ったきっかけは、高校時代に出会ったブルースという音楽です。ブルースを育んだ米国南部の『黒人』の歴史を学び始め、やがて世界各地の音楽文化とその社会背景について研究したいと考えるようになりました。学生時代から様々な本や音楽に触れてきましたが、すぐにはその価値を理解できないことが多かったです。私の学生時代にはまだ一つひとつの文献や音源を入手するのに時間もお金もかかったので、『好みでない』と簡単に手放す気になれず、なぜ自分には『わからない』のだろうと考えながら、何度も繰り返し読んだり聴いたりしていました。表面を見て即断するのでなく、物事の背景を理解して複眼的に思考する姿勢は、こうして『わからない』ものに向き合った経験を通じて培われたように思います。」

学際的な研究を通じて、 ラテンアメリカ地域が抱える 問題の本質にアプローチする。

地域研究で得られる知見は、
世界規模の課題解決にもつながる。

遠藤「いま最も関心を持っているのは、ラテンアメリカ諸国における先住民の地位や権利保障にかかわる動きです。アルゼンチンやチリなど、これまで先住民の存在があまり認知されてこなかった国でも、多文化主義の潮流を背景として、その存在感が高まっています。」「先住民への関心の高まりは、全世界的な現象でもあります。ラテンアメリカ地域の研究を通じて得た知見を、地球規模の課題解決にもつなげていきたいです。」

遠藤先生は、地域研究の魅力は「学際性」にあると考えます。学際とは、研究が複数の学問分野にまたがることを意味します。特定の地域の物事に様々な角度からアプローチすることによって本質が見えてくることがある、と先生は語ります。

遠藤「ラテンアメリカで政治を理解するには、音楽や文学の理解が必須ですし、その逆もまた然りです。ラテンアメリカには世界中の人々を惹きつける魅力的な文化がたくさんありますが、一方で、政治の汚職や経済格差など解決すべき課題も多く抱えています。良い面と悪い面のどちらか一方を見て偏見を持つことなく、この地域の様々な側面に触れてほしいです。大学は物事の多面性に向き合って深く考える力を養う場だと思います。」

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プロフィール

遠藤 健太准教授

専門分野

ラテンアメリカ地域研究

所属

国際交流学部 国際交流学科

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