『源氏物語』は後代に何をもたらすか、
作品の持つ奥深さが研究意欲をかき立てる。
研究分野は『源氏物語』。一口に『源氏物語』と言っても研究分野は様々な分野があり、井内先生は「思想・倫理・宗教」の観点から作品の研究をしておられます。
井内「大学三年生の時の演習で『源氏物語』研究の面白さに開眼しました。それまでは近代文学の方に興味があったのですが、演習で学生の発表に対して教員の鋭い質疑、真摯に研究に向き合う姿勢に衝撃を受けました。この時にどこまでも掘り下げられる作品の奥深さに強い魅力を感じました。研究は非常に面白いですが、修士論文は苦労しました。筆が全く進まなかった時もありましたが、指導教員の方のサポートもあって乗り越えることができました。諦めずに作品に向き合い研究をつづけた経験が今の私を形作っています。」
苦労を乗り越え今も研究を続けておられる井内先生に、研究の魅力についてお聞きしました。
井内「本研究の一番の魅力は日本文化の精髄に触れられる点にあります。平安時代は仏教を中心としながら、儒教や神道が組み合わさった独自の思想・倫理が形成されており、その中で生まれた『源氏物語』は文学以外にも多大な影響を与えています。絵画・能・香道などにも取り入れられているだけでなく、現代でも映画やアニメの題材としても取り上げられており、影響の大きさは計り知れません。」