Interview #13

平安時代の人々は何を考えていたのか『源氏物語』から読み解く

文学部日本語日本文学科

井内 健太准教授

平安文化が後世に残した影響を 『源氏物語』を通じて考察。 日本文化の精髄に触れる研究。

『源氏物語』は後代に何をもたらすか、
作品の持つ奥深さが研究意欲をかき立てる。

研究分野は『源氏物語』。一口に『源氏物語』と言っても研究分野は様々な分野があり、井内先生は「思想・倫理・宗教」の観点から作品の研究をしておられます。

井内「大学三年生の時の演習で『源氏物語』研究の面白さに開眼しました。それまでは近代文学の方に興味があったのですが、演習で学生の発表に対して教員の鋭い質疑、真摯に研究に向き合う姿勢に衝撃を受けました。この時にどこまでも掘り下げられる作品の奥深さに強い魅力を感じました。研究は非常に面白いですが、修士論文は苦労しました。筆が全く進まなかった時もありましたが、指導教員の方のサポートもあって乗り越えることができました。諦めずに作品に向き合い研究をつづけた経験が今の私を形作っています。」

苦労を乗り越え今も研究を続けておられる井内先生に、研究の魅力についてお聞きしました。

井内「本研究の一番の魅力は日本文化の精髄に触れられる点にあります。平安時代は仏教を中心としながら、儒教や神道が組み合わさった独自の思想・倫理が形成されており、その中で生まれた『源氏物語』は文学以外にも多大な影響を与えています。絵画・能・香道などにも取り入れられているだけでなく、現代でも映画やアニメの題材としても取り上げられており、影響の大きさは計り知れません。」

先行研究をアップデートし 新たな解釈を試みる姿勢が 先人たちの努力の結晶を守る。

柔軟な発想力が新たな研究分野を切り拓く。
自分の考えを大切に。

近代以前からも脈々と研究が続いている『源氏物語』は今までの研究を覆す発見が難しい、とおっしゃる井内先生。その中にあって中古文学の研究に大切なものは何か、お聞きしました。

井内「全く新しい発見をすることは難しくとも、先行研究を見直しながら解釈のアップデートをしたり、他の学問領域の成果を取り入れたり、出来ることはまだまだあります。先述の通り、様々な古今の芸術、文化に大きな影響を与えているからこそ、歴史学や社会学といった他分野の研究成果を活用し、新たな研究分野を切り開ける可能性を秘めているのです。また、先人たちの成果を後世に残すためにも、研究の灯を点し続けることが大切です。」

高校でも触れる機会のある古典文学について、大学ではどのような学びが待っているのか。古典文学のスペシャリストの目線からお話しいただきました。

井内「現代語訳を写し、文法や単語を暗記するのが一般的な高校古典の授業かと思いますが、大学での研究はこのような学習とは対極にあります。教科書に書かれていることを疑い、新たな解釈の可能性を考えましょう。柔軟な発想力に満ちた皆さんのアイデアが古典文学研究に新たな光を当てるかもしれません。」

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プロフィール

井内 健太准教授

専門分野

中古文学

所属

文学部 日本語日本文学科

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