踊りが持つ力を
身をもって体感。
高橋「病気治癒祈願や健康にかかわる舞踊の研究をしています。研究のきっかけは大学生の時に小児科病棟の子どもたちの姿を見たことがきっかけでした。ある時、毎日過酷な治療を行っている子が教育番組のダンスを見て、一緒に踊りだしたのです。毎日大変な状況を生きている子が楽しそうに踊る様子に、その子の母親も驚いておられました。つらい状況に置かれていても踊ることは人間にとって癒しになるのだと実感した瞬間です。」
高橋先生の研究対象は、心理療法としてのダンスセラピーではなく、日本人にとって身近なところに治癒の要素を持つダンスです。鹿児島県にある天然痘を治すための『疱瘡踊り』を発見し、研究するようになりました。
高橋「現地に足を運び、実際に見聞きして五感を通して様々なことを吸収します。こうして得られる生きた経験は表面上の情報にとどまらず、核心に触れられるように感じられます。表現された瞬間に消えていく生の舞踊を見たときに、興奮で鳥肌が立つ体験は他に代えがたいですね。」