アジア域内での移民問題に興味を持ち
フィリピンから移動する人びとを研究する。
小ヶ谷「国境を越える人の移動とジェンダーの関係について、フィリピンからの移民・海外出稼ぎ労働者とその家族を対象に研究を行っています。働く地域も職業も様々な女性とその家族の暮らしのリアルな姿をフィールドワークやライフストーリー・インタビューを通して分析してきました。」
高校時代に行った初めての海外が東欧だった小ヶ谷先生は、学生時代はヨーロッパの民族問題に関心があり、EU統合やヨーロッパの民族問題を学ぶうちに、アジア域内での移民問題やジェンダーと国際移動の関係性に興味を持つように。「指導教官が知らないことを研究したい」というチャレンジ精神からフィリピン人の移動について研究を始めました。
小ヶ谷「ローマでフィリピン人介護労働者の調査をしていた時、イタリア人高齢者とフィリピン人介護労働者とが、一緒に歌を歌い、ワインを飲んでいる場面を目の当たりにしました。複雑な関係の中で国境を越えて温かい時間を過ごしている様子はとても印象的です。また、20年近くお世話になっているマニラの母親のような女性に研究成果をまとめた本を渡すと『千穂が本を出した!』と近所の色々な人に自慢してくれました。こうした方々の存在によって私の研究が形作られているのだと改めて実感しました。」