Interview #09

その人に合った楽器が新たな音楽を生み出す一助になれるように。

音楽学部 音楽芸術学科

中西 宣人准教授

知識や技術がなくても 魅力ある音楽を作れるように 楽器をデザインする。

今までにない音楽を生み出すために
楽器の開発に試行錯誤する日々。

中西「私たちの身体は千差万別ですが、楽器は開発者や製作者によってデザインがある程度定まっています。定形化した楽器を演奏する以上、人によっては演奏しづらいと感じることもあるでしょう。ヒトではなく楽器が形状や演奏方法を変えれば、この問題を解決できるのでは、という考えから楽器デザインの研究を行っています。」

アドリブ演奏や即興演奏での「対話」に魅力を感じ、学生時代はジャズギターの演奏を行っていた中西先生。プロのミュージシャンとジャムセッションをした時に、即興にも技術や知識に根ざしたルールがあることを知ります。セッションの面白さを再確認する一方で、前提知識や技術がない人が音楽に参加すれば、新たな発見が生まれるのではないかと考えるようになり、楽器デザインの研究の道に進みました。

中西「新しい楽器の演奏方法や表現力は未知数です。そのため、世界各地のフェスティバルや学会に参加し、ライブ活動や展示を行うことで様々な方に知ってもらう活動を行っています。海外渡航の手荷物検査でしょっちゅう『これは何だ?』『演奏してみて』と言われ、説明するので多少のトラブルには動じなくなりましたね。」

人に合わせて楽器が進化すると 音楽シーンはどのように 変化していくのだろうか。

「ツール」を越え「パートナー」に。
楽器が進化した先を見据える。

中西「演奏しやすい楽器を作ることで、これまで演奏に参加しなかった人々の参加機会が生まれます。そうすれば、新たな音楽や表現方法が開拓されるでしょう。その可能性を広げたいと思っています。演奏者の望む形、演奏方法に変えられる楽器が完成すれば、楽器は道具の域を超えて、音楽を奏でる『パートナー』になるかもしれません。そういう楽器を実現できるよう、努力していきたいです。」

楽器の可能性を今まで以上に引き出し、新たな音楽表現の誕生を心待ちにしている中西先生。大学での学びの真価についてお聞きしました。

中西「人類がこれまでに培ってきた知識や技術を記録する『辞書』があったとします。大学での学びや研究は、その『辞書』に自分が見つけた新たな発見を書き込んでいく行為だと思います。誰にも知られていないことを考えたり、解き明かしたりすることは大変ですが、皆さんの視点が未来を形作る要素になるかもしれません。大学で自分だけの発見をし、探求してみてください。」

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