Interview #05

楽しく音楽を学ぶために音楽教育には何が必要か現場で実践を重ねる。

音楽学部音楽芸術学科

土屋 広次郎教授

音楽は堅苦しいものではない。 どれだけ音楽を楽しめるか 試行錯誤を重ねる。

目の前で退屈そうにしている人が
自身の活動スタイルを見直すきっかけに。

土屋先生はバリトン歌手として活躍されていますが、音楽教育について研究する研究者の一面もあります。「音楽を楽しみながら学ぶ・伝える」ために大事なことは何かについて考えておられます。研究に踏み出したきっかけについてお聞きしました。

土屋「大学教員になる前のこと、中学高校の教員をしながらオペラやコンサートの活動をしていました。クラシック音楽というとどうしても堅苦しく思われがちです。授業では居眠りをする生徒がいましたし、コンサートではお客様から『わかる音楽をやってほしい』と厳しい意見をいただきました。そんな時にエンターテイナーとして楽しく授業し、コンサートでも面白い解説を交えれば、もっと興味を持ってもらえるのではないか?と考えるようになったのです。」

土屋先生の教育方法は、教育とエンターテインメントを組み合わせた、いわゆるエデュテインメントスタイルと言われます。楽しい雰囲気で指導することで教え子が生き生きと授業に参加するようになったと言います。

土屋「合唱をするときに普通に発声練習を行うのではなく、俳優になってもらいます。隣の人に『うわ!素敵ですねー!』と驚きながら笑顔で言ってもらうと、活き活きした声に早変わり。非常に効果的なので私の授業の定番になりましたね。」

エンターテインメント性を 前面に打ち出すことで 音楽をより身近なものにしたい。

活きた音楽があふれる社会を目指して
音楽表現の魅力を追究する。

土屋「音楽教育についての研究では、そもそも音楽とは何のためにあるのか?なぜ音楽を聴くのか?といった根本から音楽について考えます。音楽が難しい『音学』にならないように、役者のような表現スキルを身に付け、社会で活躍できるエンターテイナーになるために研究の日々ですが、興味は尽きません。学生にもワークショップやコンサートを通じてどうすれば『音楽を楽しみながら伝えられるか』について一緒に考えてもらいますが、これは教員や演奏家だけのスキルではなく、社会人として重要な『伝える力』につながってきます。」

音楽は日常生活に溶け込んでいますが、その大半はデジタルツールで触れるもの。土屋先生が重視しているのは「生の音」です。耳だけではなく、体全体で感じる生の音にもっと触れられる社会を目指し、教育現場だけではなく社会全体に音楽の良さを伝えていきたいとおっしゃっていました。最後に先生から高校生に向けてメッセージをいただいています。

土屋「音楽は社会をつなぐコミュニケーションツールです。ただ演奏するのではなく、表現の仕方を一緒に考えませんか?音楽は不要不急ではなく『至急必要』な存在です。どうすればその魅力を伝えられるか、一緒に研究しましょう。」

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プロフィール

土屋 広次郎教授

専門分野

声楽全般(オペラ・歌曲・宗教曲・合唱)

所属

音楽学部 音楽芸術学科

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