目の前で退屈そうにしている人が
自身の活動スタイルを見直すきっかけに。
土屋先生はバリトン歌手として活躍されていますが、音楽教育について研究する研究者の一面もあります。「音楽を楽しみながら学ぶ・伝える」ために大事なことは何かについて考えておられます。研究に踏み出したきっかけについてお聞きしました。
土屋「大学教員になる前のこと、中学高校の教員をしながらオペラやコンサートの活動をしていました。クラシック音楽というとどうしても堅苦しく思われがちです。授業では居眠りをする生徒がいましたし、コンサートではお客様から『わかる音楽をやってほしい』と厳しい意見をいただきました。そんな時にエンターテイナーとして楽しく授業し、コンサートでも面白い解説を交えれば、もっと興味を持ってもらえるのではないか?と考えるようになったのです。」
土屋先生の教育方法は、教育とエンターテインメントを組み合わせた、いわゆるエデュテインメントスタイルと言われます。楽しい雰囲気で指導することで教え子が生き生きと授業に参加するようになったと言います。
土屋「合唱をするときに普通に発声練習を行うのではなく、俳優になってもらいます。隣の人に『うわ!素敵ですねー!』と驚きながら笑顔で言ってもらうと、活き活きした声に早変わり。非常に効果的なので私の授業の定番になりましたね。」